【韓国昔話35】十二支の話
とても、とても遠い昔、神様は、光とやみ、天と地、最後に人をつくったのち、しばらく休もうとしていました。
ところが、人々がさけんだりわめいたりするので、とても休むことができませんでした。
「神様、どうやって生きなければならないのか教えてください!」
「ふむ、人々に生きていく方法を教えてあげる十二の動物神を選ばなければならないな」
一番先に走ってきた動物はネズミでした。
「私は、人々に勤勉さを教えます。一生懸命に働けば、お腹いっぱい食べることができますからね。チューチュー」
続いてすぐに力持ちの牛が入ってきました。
「私は、黙々と働く力と誠実さを教えてあげます。モー」
神様は、うなずいて、ネズミと牛を人間界に送られました。
ガオー! 大きな声でほえながらトラが現れました。
「神様、私は勇気を教えてあげます」
神様は、トラも人間界に送りました。
今度は、ウサギがピョンピョンはねてきました。
「神様、私は人々に知恵を教えてあげます。そうしなければ、何が正しいのか分からず、けんかばかりしますからね」
ウサギが地上に下りていくと、龍が訪ねてきました。
「人々にとって水ほど重要なものはありません。私は、水を使う方法を教えてあげます」
「よろしい。おまえも人間界に下りていきなさい!」
このとき、どこからかスルスルとヘビが現れて言いました。
「私は、人々に辛抱強さを教えてあげます」
このようにしてヘビも人間界に下りていくようになりました。
しばらくして、馬が神様を訪ねてきました。
「私は、人々に広い世の中を見せてあげたいです。そうすれば、夢も大きくなりますからね。ヒヒーン」
「もちろん、夢も大切だろう。よし、おまえも早く下りていきなさい」
続いてすぐに羊とサルが順番に訪ねてきました。
「私は、人々に互いに分かち合ってゆずりあう心を教えてあげます。メーメー」
「私は、人々がもっているあらゆる才能を利用して楽しく楽に生きる方法を教えてあげます」
「それも必要だな。早く下りていきなさい!」
神様は、羊とサルも人間界に送ってあげました。
神様は、続いて、時間を知らせてくれるニワトリ、信じる心を教えてくれる犬、広い心を教えてくれるブタまで、ぜんぶで十二の動物神を人間界に送られました。
人々は、十二の動物神のおかげで、どのように生きていかなければならないのかを知るようになりました。
「はっはっ、今はもう、少し休むことができるな」
神様は、満足そうな笑みを浮かべて眠りにつきました。
今も、十二の動物神は、毎年順番に回っていきながら、人々の生きる姿を見守っているそうです。
終