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2014年01月14日

【韓国昔話3】トラとヒキガエルの賭け

【韓国昔話3】トラとヒキガエルの賭け

昔、昔、一匹のトラと一匹のヒキガエルが住んでいました。トラはせっかちで欲深く、よいものを見れば、どんな手を使ってでも、すぐに自分のものにしようとしました。いっぽう、ヒキガエルは冷静で知恵深く、トラのたくらみには簡単に引っ掛かりませんでした。 ある日、トラとヒキガエルは、大きなクヌギの木の陰で休んでいました。 「ウォー、何か、おいしいものはないか」 トラが舌なめずりをして言いました。 「二匹で、蒸しもちでもつくって食べるのはどうだろう」 ヒキガエルが、トラをあおぎみながら言いました。 すると、トラは、 「蒸しもち? そうだ、おいしい蒸しもちをつくって食べることにしよう!」 と言いました。 「二匹で公平に、それぞれの家に帰っていき、米のこなを一杯ずつ持ってくることにしよう。こしき(蒸し器)は私が持ってくるよ」 そう言って、ヒキガエルが、家に向かって、ぴょんぴょんはねだしました。 「わかった。早く来るんだぞ」 そう言って、トラも、のそりのそり歩いて家に行きました。 しばらくして、トラとヒキガエルが再びクヌギの木の下に戻ってきました。そして、二匹で一緒に、こしきにもちをつくるこなを入れて火をたきました。 「もちも、まったく同じように分けて食べることにしよう。こしきがおまえのものだからといって、おまえのほうが多くのもちを食べてはだめだぞ」 トラが、ヒキガエルにきつく言いました。 「当然だろう」 ヒキガエルが笑いながら答えました。 こしきからは、白い湯気がもくもくと立ち上がり、おいしそうなにおいがぷーんとただよってきました。トラとヒキガエルは、つばをごくりと飲み込みました。 「このおいしそうなもちを、私一人で食べる方法はないだろうか」 こしきから立ち昇る白い湯気を見ながら、ふと、トラは、もちをひとり占めしたくなって、そのように思いました。それで、こしきのまわりをのそりのそり歩きながら、あれこれと思いめぐらしました。 そうしている間に、もちは完全にできあがりました。 「わあ、もちがとてもおいしそうにできあがった。さあ、分けあって食べよう」 そう言って、ヒキガエルがこしきに飛びつこうとしました。 すると、トラが矢のように、ヒキガエルの前をふさいで言いました。 「ヒキガエルよ、二匹で賭けをして、勝ったほうが、すべてのもちを食べることにしよう」 「賭けだって?」 トラの突然の提案に、ヒキガエルは目をまるくして聞きかえしました。 「そうだ。こしきを山のてっぺんに持っていき、山の下にころがすのさ。そして、こしきを追いかけていって、先につかまえたほうが賭けに勝つことになるのさ」 「おまえは、一人でもちを食べたいんだな」 ヒキガエルは、トラの下心を憎らしく思って言いはなちました。 「そうじゃない。私は、ただもちをもっと楽しく食べようと思って‥‥」 トラは言葉をにごしながら、首をしきりに左右にふりました。 ヒキガエルは、自分が負けることが分かりきっている賭けをしたくはありませんでした。しかし、しばらくあれこれと考えたのち、ヒキガエルは、自信のある声で言いました。 「いいだろう、賭けをしよう」 トラとヒキガエルは、一緒にこしきを持って、山のてっぺんに上がっていきました。そして、山の下に、こしきを力いっぱい転がしました。すると、転がっていくこしきからは、もちが少しずつこぼれていきました。トラは、もちがどんどんこぼれていくのも知らずに、すばやくこしきを追いかけていきました。 その姿を山のてっぺんから見ていたヒキガエルは、からからと笑って言いました。 「おろかなトラのやつ、自分のたくらみに自分でひっかかった。おまえが空のこしきを一生懸命に追いかけているうちに、私はゆっくりともちをひろって食べよう」

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