●陽性と陰性の話~祝福結婚記念日に寄せて●
男やもめ歴27年にならんとする筆者に、夫婦のことを語る資格はありませんが、周辺のご夫婦の皆さんの様子をうかがっていると、右に対して左、上に対して下、縦に対して横、遠に対して近というように、実に男性と女性は違うものだなあ、異なる存在なのだなあと、歴然として教えられることになるのです。

ありがたいことに、小生の両親は共に80代の後半の年齢に達してなお健在です。そんな老夫婦の姿。帰省した折など、近くで見守っていると、「ああ、まさに極と極とはこのことなのだなあ」とつくづく気付かされます。
そして近隣の祝福家庭の皆さんとお付き合いをしていると、家庭ごとに種々さまざまな陽陰の存在様相があることが分かります。
ジョン・グレイの名著、世界的なベストセラーでもある『ベスト・パートナーになるために』のサブタイトル「男は火星から、女は金星からやってきた」のフレーズは、陽性と陰性の関係性から見ても、実に言い得て妙です。
男性と女性は神の陽性実体と陰性実体の関係である、という創造の原理から理解すれば、男性と女性は生来その性質において互いに異なる存在なのだと考えざるを得ません。
男女に限らず、そもそも陽と陰は明らかに対極の位置にある性質といえるものなのです。
娘たちが大人になるにつれて改めて分かったことがあります。
それは、夫婦だけでなく、親子でも陽性と陰性の違いは明らかで、それをよく理解して付き合わなければ大変なことになる、ということです。
もちろん、同性同士であっても個性真理体としてのタイプ(性質)の違いはあります。そしてそれは生活スタイルや嗜好の違いとなって顕在化します。
人は一人で生きていませんし、一人で生きられるものでもありません。他者との差異故に四六時中イライラしたり葛藤していたりしては到底身が持ちません。神経が擦り減ってしまいます。
ここで登場するのが「ために生きる」という人間関係の極意です。これが陽性と陰性を和合統一させることのできる万能薬です。そうです、あの「統一原理」(真の愛の原理)の教えです。
近い関係ほど、相手をあまり尊重しませんし、その差異を認め受け入れることを省略してしまうために、葛藤が起きやすいといえます。
家族だからと、この道理をはしょってしまうのか、それとも家族だからこそ、この道理を貫くべきか――。これが運命の分かれ道にならないとも限りません。
相手に対する不平不満やイライラをどうやって解消するのか、言い換えれば、いかに他者との間に和合と統一をもたらすかということです。
神の創造は喜びの実現のためになされたと統一原理で学びました。
創造原理とは、喜びをつくり出すための仕組みだといえるでしょう。
「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」(創世記 第1章27節)
神は男女の結婚を通して喜びを得ようとされたかったし、兄弟姉妹という無数の個性真理体を出会わせて喜びの世界を拡大し、増幅されたかった、ということです。
ために生きる――。この統一の原理を、最も近い隣人である配偶者、家族に対して実践しない手はありません。
マザー・テレサがインタビューの中で「世界平和のために私たちができることは何でしょうか?」と尋ねられて、このように答えています。
「家に帰ってあなたの家族を愛してください」
世界平和もまた、陽性と陰性が一つとなるところから始まるのだと思います。
平和な世界とは、喜びと刺激に満ちた世界であるからこそ、神は陽性と陰性、個性をお創りになったのでしょう。互いに補い合い、助け合って生きていくために…。
世界は陽性と陰性に満ちています。
つまり世界は違いにあふれているというわけです。
だからこそ、喜びというものも生じ得る。
祝福結婚に乾杯!
わが家庭に乾杯!
天宙大家族に乾杯!
(則)





