Amazonのプライム・ビデオで配信されているドラマ「ハウス・オブ・ダビデ」をご存じだろうか。
旧約聖書「サムエル記」や「列王記」に登場するダビデ王の物語を、Amazonが実写ドラマ化したものだ。2025年2月に配信が開始され、シーズン1が4月に完結した(全8話)。シーズン1では、預言者サムエルから油を注がれた羊飼い・ダビデが、敵国ペリシテのゴリアテ(作中ではゴリアト)を倒すまでを描いている。
予告編(英語版)
※プライム会員なら日本語版も視聴できる
映像制作者の目線で気になったのが、ゴリアテの身長設定だ。聖書によれば6キュビト半(約2.9メートル ※諸説あり)とある。実は、このゴリアテの設定が、現代におけるダビデ物語のおもしろさにつながっている。
聖書を元にした物語は、記述に忠実でないとクレームが来ることが多いそうだ。ドラマ「ハウス・オブ・ダビデ」では、聖書に忠実に約3メートルの巨人族・ゴリアテを作り出した。まるでの映画「ハリー・ポッター」の主人公とその良き友人・ハグリットのように、登場人物に身長差を与え、映像にスパイスを加えている。
また、神の祝福として油を注がれた主人公が、神を離れた先王から追われる様子は、さながら映画「ロード・オブ・ザ・リング」の闇の王サウロンから逃げる主人公フロド・バギンズをほうふつとさせる。
「聖書物語」と聞くと、内容を知る人は退屈なイメージを持つかもしれない。だが、このドラマ「ハウス・オブ・ダビデ」は、現代の表現手法により一大スペクタクルとして描かれている。使い古された物語であったとしても、映像とストーリーを作り込み、人々に興味を抱かせることができるということを、私も参考にしなければならない。
「神を畏れよ」――。信仰の力によって成長し、巨悪を打ち倒すこの作品は、宗教心が薄れゆく現代において必見のドラマである。
U-ONE TVでは、林三男先生が、ダビデ物語を詳しく解説してくれている。
併せて視聴するとさらに理解が深まるだろう。
(N)