今から10年以上前の、独身時代の話です。
二世の友達が知人を招いてホームパーティーをするというので、私は子守役として参加し、4歳から10歳くらいの子供たち8人と風船やしゃぼん玉で遊んでいました。
やがて探検ごっこをすることになり、子供たちは家の中をあちこち見て回って、最後に2階の祈祷室にたどり着きました。
すると、中に入るやいなや、友達の子供(三世)たちが真の父母様の真尊影を指さして、「見て! 神様の写真だよ!」と、他の子供たちに説明し始めたのです。
そして、「神様が僕たちをいつも見ているんだよ!」と、喜々として語りだしました。
しかし、真の父母様を知らない子供たちは、急な展開に戸惑い、困惑しているようでした。
そして、その中の一人の女の子が、「神様っているの?」と、真剣な顔で私に聞いてきたのです。
曇りなき目で見詰められ、私は一瞬言葉に詰まってしまいました。
なぜなら、彼女の父親は妻子に手を上げる人で、家庭に非常に難しい事情を抱えていたからです。
〝「神様がいるのなら、なんで私とママのことを助けてくれないの?」と、言われたらどうしよう〟と思ってしまいました。
かろうじて、「うん。神様はいるよ!」と言った瞬間、
「みんな、ケーキを食べましょう!」 という声がキッチンから聞こえてきました。
わーっと子供たちが祈祷室を出ていき、この話はおしまいになりました。
しかし、私は、彼女への返答に詰まった自分が悔しくて、何と言えばよかったのかをずっと考えていました。
あれから時は流れ、現在、2人の息子の子育てに奮闘中です。
先日、長男(5歳)に、「(お父様は)天国にいるんだったら、目には見えないの?」と聞かれました。
「そうだね。でも、『会いたいです』ってお祈りしたら、きっと夢で会えるし、ずっと見守ってくれているよ」と言うと、「じゃあ、いつも一緒にいるのと同じだね」という言葉が返ってきました。
息子が純粋に、そう思ったことが伝わってきました。
きっと、あのときの女の子も、純粋に、「神様はいるのか」について知りたかっただけだったのでしょう。
なのに私は、彼女がどう思うかをかってに想像して、伝えるのをちゅうちょしてしまったのです。
今考えると、私の中に、〝神様のことを深く聞かれたらどうしよう〟という戸惑いがあったのかもしれません。思い込みが強すぎたと反省しています。
今、み言を伝えたい友人がいます。あの女の子に神様のことを十分説明できなかった分、その友人には、怖がらずにまっすぐ伝えたいと思います。
香