光言社 編集者ブログ

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2021年11月04日

ドラマのセリフで神様がフォロー

 『世界家庭』11月号「未来人材局のページ」で、2人の家庭青年の〝神様に出会った証し〟を紹介しました(5659ページ)。2人は高校生の頃、ジュニアSTFで活動に励み、共に歩む兄弟姉妹たちと東大受験に挑戦したといいます。

 当時のジュニアSTFの学習指導は、2005年に放映されたテレビドラマ「ドラゴン桜」(第1シリーズ)の影響を受けていたと聞いたことがあります。このドラマは、阿部寛さんが演じる元暴走族の弁護士・桜木健二が、平均偏差値36の高校生を東大に現役合格させるまでを描いています。

 今年4月、その第2シリーズが放映され、わが家の次女(小6)がどハマリ。全話録画して何度も見返していました。

 私は、ひょっとして東大に行きたいのかもしれないと思って尋ねると、「ドラマとして面白いだけだよ」と、そっけない返事が返ってきました。ちょっと残念な気もしましたが、ドラマを通して、目標に向かって頑張ることの素晴らしさが伝わったらいいなあと思いながら、時々、一緒に見ていました。

 そのような中、とても印象に残る言葉がありました。それは、桜木弁護士が高校の教師たちに向かって、「子供の自由を尊重することと甘やかすことは違う! 間違いを犯しても叱らず、目標すらも与えず、そんなんだから、ここのガキどもは濁ったドブ川みたいな目をしているんだ。自由にかこつけて守っているのは、生徒ではなく、おまえら自身の立場だろ」と訴えた場面でした。 

 何か、私自身の子育ての姿勢に対して言われている気がしました。

 

 

 ある土曜日、長男(高1)の部屋から、舌打ちの音や、「クソ!」「ふざけんなよ!」などと叫ぶ声が聞こえてきました。どうも、ゲームをしながら、むかついているようでした。

 息子は、ふだんから家庭学習を全くしません。私が勉強のことを言うと、いつの間にかケンカになってお互いに傷つくので、ずいぶん前から、「いつか自覚するときが来る」と信じ、何も言わないように努めてきました。しかし、そのときは、月曜日から中間テストが始まることが分かっており、落ち着いていられなくなってしまったのです。

 そして、あの「子供の自由を尊重することと甘やかすことは違う! 自由にかこつけて守っているのは、生徒ではなく、おまえら自身の立場だろ」の言葉がよみがえってきました。

 「そうだ! 親として、言うべきことは責任を持って言わないと」。私は意を決して、息子の部屋に入っていきました。 

 しかし、すでにイライラしている相手に思いを伝えることは簡単ではありません。ベッドでゲームをする息子の隣に座り、「イライラするぐらいだったら、ゲームをしないほうがいいよ」などと話しかけましたが、火に油を注ぐばかり。あげくの果てには、息子から「部屋から出てけ!」と突き飛ばされてベッドから転げ落ち、クローゼットの扉に頭をぶつけました。

 その瞬間は、時が止まったようでした。

 起き上がって息子を見ると、顔を真っ赤にして、目にいっぱいの涙を浮かべ、今にもこぼれ落ちそうでした。焦り、心配、悔しさ、怒り……。その涙には、いろんな思いが凝縮されていたと思います。そして、私たち親子を見て、神様が泣かれているように感じました。

 私は、「息子のため」と思って行動したはずだけれど、動機やタイミング、伝え方など、足らない点が多かったのだと反省しました。

 その後、落ち込む私を神様がフォローしてくださいました。しばらくして、また、次女とドラマの録画を見ていたときのことです。 

 桜木弁護士が、発達障害の生徒と向き合ってきた先生に対して、こう言いました。

 「的外れだろうが何だろうが、自分のために一生懸命やってくれたその気持ちは、ちゃんとあいつに届いている。あんたらがいたから、あいつにとって学校が安心できる場所になったんだ。才能を伸ばすために何よりも重要なことだ」

 次女から「ちょっと泣きすぎじゃない」と言われながら、私はボロボロ泣いていました。

 これからも、子育ての中でたくさん的外れなことをすると思います。〝100パーセント子供のため〟という動機で接する自信もありません。でも、子供たちのために〝一生懸命に頑張ることはできる!〟と思い、力が与えられました。

 

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