「親孝行」、身近なテーマですね。同居の場合もそうでない場合も、親孝行について、具体的にはどうしたらいいのか、その実践に悩むことも、案外多いのではないでしょうか。
筆者の親は、父が満89歳、母が満88歳です。
今年の3月、家族全員で近場の温泉旅行を一年がかりで企画し実行しましたが、帰宅後の母には、旅行の記憶はうっすらとしか残っていませんでした。

さて、各種調査(ソニー生命、明治安田生命、ベネッセ、LINEリサーチなど)で定期的に実施されているアンケート結果から、親子関係に関する部分を取り出してみました。親孝行実践のためのヒントにしていただけるとうれしいです。
1. 子が親に思っていること(親としたいこと・親孝行)
大人の子ども(20代〜50代)を対象とした意識調査では、特別なイベントよりも「日常的で気軽な時間」を重視する声が多数派を占めています。
① 親と一緒に過ごすなら何をしたいか?(上位の回答)
*一緒に食事をする、お酒を飲む(ダントツの1位)
*旅行に行く、温泉に行く(親の体力があるうちにしたいこと)
*たわいもない雑談をする、近況報告をする
*一緒にショッピング・ドライブに行く
*孫の顔を見せる、一緒に遊ぶ
「何かをプレゼントする」よりも、「一緒に同じ空間でおいしいものを食べ、話をする時間」を最大の親孝行と捉えている人が非常に多いようです。
② 親にしてあげたいこと(感謝や配慮)
*健康管理、体のケアへの配慮:「健康診断を受けてほしい」「無理をしないでほしい」という労わり
*経済的・生活面での恩返し:「おいしいものをおごる」「実家の片付けを手伝う」「旅行費用を出す」
*安心させること:「自分が元気にしっかり生きている姿を見せること(自立)」
2. 逆に「親が子に思っていること」
親側(60代以上など)を対象としたアンケートや「子に望むこと」調査では、子側の「何かしてあげなきゃ」という思いとは少しギャップのある、温かい本音が浮き彫りになります。
① 子と一緒にしたいこと・してほしいこと(親の本音)
*元気な顔を見せてくれること、連絡をくれること(最上位)
*たまに一緒に食事をすること
*孫の成長を見せてもらうこと(孫がいる場合)
*たわいもない話(仕事や暮らしの近況)を聞かせてくれること
親側は「高価なプレゼント」や「無理をした豪華な旅行」などはほとんど求めていません。むしろ「子に気を使わせたくない」「お金や手間をかけさせたくない」という思いが強く、「ただ元気で暮らしていることが分かればそれだけで十分」と考えているようです。
② 親が子に対して一番願っていること
*「とにかく子が幸せで、健康でいてくれること」(圧倒的1位)
*「何かあったら頼ってほしい(無理をし過ぎないでほしい)」
*「自分の人生を悔いなく楽しんでほしい」
3. アンケート結果から見えてくる「すれ違い」と「一番の親孝行」
子側と親側のアンケートを比較すると、興味深い意識の構造が見えてきます。
【子の思い】
「もっと何かしてあげなきゃ」「旅行やプレゼントを用意しなきゃ」と“行動や形”を意識しがち。
【親の思い】
「元気に笑っていてくれればいい」「たまに連絡をくれればうれしい」と“存在と状態”を願っている。
つまり、親にとっては「子からの定期的なLINEや電話」「たまに一緒に食べるご飯」「自分の近況を楽しそうに話す姿」こそが、何よりの親孝行であり至福の時間であることが分かります。
もし「親と何か過ごしたい」「親孝行したい」と考えていらっしゃるなら、大事なのは大掛かりな企画ではなく、「近況報告を兼ねて、おいしいものでも食べに誘ってみる」といった日常の延長線上にあるきっかけかもしれません。

わが両親は、筆者(60を過ぎた息子)の手料理を何より喜びます。味噌汁にカレーライス、鍋料理にきゅうりの浅漬け。何でもない料理でも、「うまい!」「おいしい!」を連発してくれます。
卒寿も間近となった両親。思うように動けなくなった心と体にとって、共に生活してくれる家族、共に居てくれる家族の存在自体が最高の親孝行なのかもしれません。
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(則)




