光言社 編集者ブログ

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2024年11月07日

山滴る、日光白根山の思い出

 

 この夏、千葉県に住む息子夫婦から、「白根山に登ったよ」というメッセージとともに、写真が送られてきました。「ロープウエイを使ったから、3時間くらいで登れた」とのこと。

 白根山──。正確には、日光白根山。懐かしさが込み上げてきました。
 40年ほど前になるでしょうか。当時20代だった私も登ったのです。その頃、ロープウエイはなかったと思います(調べてみたら、1998年に完成していました)。
 日光白根山は、群馬県片品村の北東部、栃木県との県境にそびえる山です。標高2,578m。関東以北では最も高い山で、日光火山群の主峰とのことです。

 当時、尾瀬研修センター(群馬県片品村)で光言社の社員研修があり、2泊3日の日程の合間に有志(男女合わせて10人ほど)で登ったのが、この白根山でした。
 案内してくれたのは、当時の尾瀬霊園の責任者、戸丸のお父さん(英男さん、既成62双)でした。2代目の園長、戸丸廣安さん(1800双)のお父さんです。
 当時はまだ60歳になるかならないかだったと思いますが、元気ハツラツ、ダンディで素敵な“お父さん”でした。

 今では、どこの登山口から登ったかも定かではありませんが、登頂までに5〜6時間かかったと記憶しています。
 季節は夏。
 正に「山滴(したた)る」という言葉がピッタリの、瑞々しい木々が生い茂る中、健脚の戸丸のお父さんを先頭に、つづら折りの急な山道を黙々と進んでいきました。

 初心者にはなかなか厳しい山で、途中、遅れ出す女性も出てきました。
 すると、戸丸のお父さんがこう言いました。
 「足を、右、左、右、左、交互に前に出していけば、必ず頂上に着くよ」
 “いや、そうだけど、その、足を前に出すのが大変なんです”と思いながらも、その後は「右、左、右、左」とみんなで声をかけ合いながら登りました。

 疲れもピークに達した頃、高い木々がなくなって、急に視界が開けました。戸丸のお父さんが「ここが森林限界」と教えてくれました。
 幸い、一人も脱落することなく、登頂。
 頂上で、戸丸のお父さんがお湯を沸かして、みんなにコーヒーを振る舞ってくれました。その美味しかったこと! これも山登りの醍醐味ですね。

 

森林限界を越えたあたり。ここからさらに1時間ほどで登頂(息子撮影)

頂上から五色沼を望む(同)

 

 時は下って、今年10月13日、爽やかな秋晴れの下、尾瀬霊園で第42回「神日本聖和祝祭」が開催されました。
 私もオンラインで参加しましたが、清浄な雰囲気に満ちた尾瀬霊園は、私たち統一家の誇りだといつも思います。

 この尾瀬霊園を、私財を投じて開設したのが戸丸のお父さんでした。当初は理解する人も少ない中、相談できるのは天の父母様だけだったのではないでしょうか。そのご苦労は量り知れません。
 戸丸のお父さんは、立正佼成会を経て、1963年、家庭連合に入教。1975年に62双の既成祝福を受けられました。既成家庭として歩む中、本部総務部長、厚生部長など、要職を歴任されました。
 1998年に71歳で聖和されるまで、真の父母様の願いに応えて、尾瀬霊園の管理、改善、充実を通して、家庭連合らしい「聖和」の環境を整備することに生涯を捧げられました。正に義人だったと思います。

 ひょっとして戸丸のお父さんも、苦しいとき、壁にぶち当たったとき、「足を、右、左、右、左、交互に前に出していけば、必ず頂上に着く」ことを信じて歩んでいかれたのかもしれません。
 私も、目標は遠いですが、いつか到達することを信じて、「右、左、右、左」と言い聞かせながら進んでいきたいと思います。
(晶)

 

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