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2018年09月06日

『世界家庭』2018年9月号読みどころ紹介②
エッセー サバンナ地帯から希望の光を
第6話「全ての難問を引き受けて逝った夫」

 

最後の見送りで夫に「子供たちをりっぱに育てます」と誓う

 

 

 10月16日、私はスイス第一の都市チューリヒにいました。珍しく夜明け前から激しい雨が降っていて、私は雨空を見上げながら、3日前に見た夢を考えました。

 その夢は、夫にそっくりな三男が、私の目の前で車にはねられ、私の腕の中で息を引き取るという悲しいものでした。この日、外出を諦め、家族の無事を祈っていると電話が鳴りました。受話器を取るとボボ教会からでした。「今朝の祈祷会で、教会長(夫)が敬礼を捧げた後に倒れ、今、病院に運ばれました」と言うのです。私は、「分かりました」と言って受話器を置くと、静かに泣きました。……

 祈りが終わるとすぐに電話が入りました。「教会長が息を引き取りました」という知らせでした。それを聞いて、もう泣いてはいられませんでした。3日後に聖和式を行うというので、それに間に合わせるために、急いで荷物をまとめ、飛行機のチケットを買ってブルキナファソに向かったのです。

 午前7時にボボ教会に到着し、車から降りると聖歌が聞こえてきました。讃美に導かれるように礼拝堂に入ると、夫のひつぎがありました。このとき初めて、「やっぱり、夫の聖和は本当だった」と実感しました。ひつぎの近くには、天の願いを受けて養子に出した最初の息子の姿が見えました。わが家の4人の子供たちは正装して、おとなしく席に着いていました。思ったより、元気そうなので安心しました。それでも、4歳の末娘だけは状況を把握できないようで、横たわるパパを怖がり、私を見つけると抱きついてきました。

 

 

 最後の見送りで、私は夫の顔の横に献花をしながら、「たくさんの思い出をありがとう。健康にしてあげたかった。できなくてごめんなさい。でも、これからの私を見ていてください、子供たちをりっぱに育てます」と、別れの言葉を言いました。

 

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