2025.06.24 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 370
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る母なる者の使命➁
リベカ、ラケルとレア
ナビゲーター:石丸 志信
イスラエルの父祖アブラハムとサラから生まれた息子イサクは、父にも増して信仰深く成長した。
彼にふさわしい相手として探し出されたのは、親戚筋に当たるリベカだった。
アブラハムの忠実な僕(しもべ)が、主人の命を受けて花嫁を探し出してくる経緯の記述に創世記は一章分を割いている。そこに神のみ意(こころ)にかなった結婚の在り方というものを描き出している。
イサクとリベカは己の欲望を超えたところで出会って結ばれた。この夫婦から摂理的な使命を分かち担う双子が誕生するのだ。
胎内で争う息子たちのことを心配した母リベカが主に祈ってみると、「二つの国民があなたの胎内にあり、二つの民があなたの腹から別れて出る。一つの民は他の民よりも強く、兄は弟に仕えるであろう」(創世記 第25章23節)とのみ言が与えられた。
彼女はこのみ言を心に留め、ヤコブが長子権を復帰するために協助を惜しまなかった。ヤコブの勝利によって、リベカもたたえられるべきイスラエルの母となった。
ヤコブの二人の妻ラケルとレアの姉妹は、ラバンの下で苦労するヤコブの慰めとなり、栄光をもたらす子らを次々にもうけ、イスラエルの12部族の基(もとい)を据えた。
ヤコブが愛したラケルは、カンナに帰る旅の途上で、不幸にも12番目の息子を産み落として亡くなる。
彼女は臨終の床で、誕生間もなく母を失うわが子を憂いて「ベノニ(悲しみの子)」と名付ける。しかし父ヤコブはその子を「ベニヤミン(右側の子)」という名に改める。それは、誇り高く父の右に立ち、幸福と栄光を帰する息子となるとの願いが込められている。
彼の名は、後のイスラエル民族の歴史を暗示しているかのようだ。
神の僕として選ばれた民は、他の民族が経験することができないほどの悲惨な道を歩み、苦難の中から立ち上がって、やがて天の栄光を現すものとなる。
悲しみの子らがいつか喜びと栄光の子となることを、天上から見守り続けたのが母ラケルだった。ラケルの亡きがらはベツレヘム付近に葬られた。
ヤコブが愛した妻でありながら、ラケルは父祖たちの墓には入っていない。しかし彼女の墓所に今もユダヤ人の巡礼者は絶えることがない。彼らは今もなお、ラケルを母として思慕しているのだ。
イスラエルの三代に渡る父祖の傍らには、ふさわしい助け手の妻がおり、子を産み育て、信仰を育む母の姿があった。
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