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シリーズ・「宗教」を読み解く 405
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体㉔
真のイスラエル共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと、また、わたしの名によって父に願うものは何でも与えられるようにと、わたしがあなたがたを任命したのである」(ヨハネによる福音書 第151617、新共同訳)

 イエスを通して神の召命を受けた12弟子は、真のイスラエルとしての使命を果たすべき責任があった。しかし残念ながら、誰一人としてその意味を理解した者はいなかった。

 「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」(ルカによる福音書 第2334節、口語訳)

 十字架上でイエスがこうつぶやいたその言葉は、ローマ総督ピラトや彼に槍(やり)を向けるローマ兵、ユダヤの大祭司、律法学者たちだけを指して言われたものではなかっただろう。

 最も愛し信頼し、手塩にかけて育ててきたにもかかわらず、恐れ惑い逃げてしまった弟子たち。中でも使徒と呼ばれる者たちのことを思っていたに違いない。

 12弟子がイエスの価値を理解し一つとなって、神がこの時に懸けた願いを悟って立ち上がっていたとしたらどうだったろうか。

 神のみ旨に対する無知の故に不信と裏切り行為に陥った弟子たち。それによってイエスは地上で新しい真のイスラエル共同体を再創造することができなかった。

 そればかりか、創造主なる神は、「神の民」として選び、長い歳月訓練してきたイスラエル民族を戦乱の中に投げ出し、国家の崩壊と離散の民とならざるを得なくなった姿を見ることになる。

 その崩壊を食い止める最後の砦(とりで)として選んだ者たちの不足さ故に、神の独り子たる者が自ら十字架を担うことになったのだが、イエスにおいてはその重みなどなんでもなかった。イスラエル民族の嘆きとそれを見つめる天の痛みに比べるならば…。

 かくして、イエスは十字架への道を登りつめ、自らの生命を天に委ね、神のみ旨がなお継続し、必ず成し遂げられることに懸けた。たとえ肉体は奪われても、その高貴な魂は汚されることはなく、神の子の威信を保った。

 そこから新たな逆転劇が始まる。
 イエスは復活し、神の子の栄光を再び弟子たちに表す。

 無知を嘆き、涙で悔い改めた弟子たちは、許されて再び立ち上がった。12使徒の欠けた一人を補い、12人がそろって復活されたイエスの前に立ち一つとなった。

 そして分かち難く一つとなって祈り、イエスが約束された聖霊を迎える準備を整える。

 時満ちて聖霊が降り、彼らは生まれ変わって神の子となり、新たな次元で失われたイスラエル共同体を再び取り戻す道へと歩みだすことになるのである。



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