2026.01.27 17:00

シリーズ・「宗教」を読み解く 397
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑯
み言に立ち返る共同体
ナビゲーター:石丸 志信
捕囚の地から解放されて帰還した「神の民」は、かつて祖国の都に据えられ新バビロニアに破壊された彼らの神殿の再建に取りかかった。それは、イスラエルの中心、民族の精神的支柱だったからだ。
解放者クロス王の勅令を得て、再建工事に着手、ほどなくして礎石が据えられた時、民は歓喜して祝祭をささげた。しかしその後、反対者の妨害に遭い、しばらく工事は中断した。
その後、クロス王の勅令があったことが確認され、工事を再開し、無事に神殿が完成したのは、着手してからおよそ20年後のことだった。
その日、イスラエルの人々、祭司、レビ人、残りの捕囚から帰った人々は、喜びに満たされ、贖罪(しょくざい)の供え物をささげて盛大に奉献式を行った。再建された神殿は、今日第二神殿と呼ばれる。
彼らは続いて過越の祭りを祝った。季節は春を迎えたからだ。
過越の祭りは、出エジプトの出来事を記念するもので、イスラエルの民にとって一年の中でも最も重要な祭りだ。
この祝祭を通して、彼らイスラエルの民の神体験を思い起こし、自らの記憶に刻んでいく。
創造主なる神は、父祖アブラハムを呼び出し、ヤコブとその子らがエジプトに移住して後、400年を経て、再び故郷に連れ帰ると約束した。約束どおり、時が来てモーセを遣わし、奇跡を通して奴隷の身から解放し、乳の密の流れる故郷カナンへと導きだした。
この時の出来事を子供たちに語り聞かせ、感謝をささげる。そのひととき、一族が共に出エジプトを体験したかのように感じ、今も主なる神が共にあることを確認する。
いわば、イスラエルの民の選民としてのアイデンティティーを再確認する最も大切な時なのだ。
この祭りを通して、バビロンの捕囚の地から帰還した民は、エジプトにいた先祖と同じく、生きて働かれる神のみ力を見ることができ、先祖を導いた神によって自らも解放を体験し、選民としてのアイデンティティーを取り戻すことができたであろう。
ダビデが幕屋を据え、ソロモンが建てた神殿の様相を聖都エルサレムは取り戻した。まだイスラエルの名を冠した国の主権は取り戻されてはいないが、確かな希望を胸に抱くことができた。
ただ、残念なことに、神殿の至聖所に据えられるべき「契約の箱」は失われて見いだすことができなかった。
聖所としての神殿は形を持ったけれども、最も中心に据えられるべき魂、神のみ言を刻んだ石板はそこにはなかった。
捕囚からの帰還が始まっておよそ80年後、失われた神殿の魂を取り戻すべき、祭司エズラと総督ネヘミヤによる改革が推進される。
エズラは、「神の民」を集め、モーセから受け継いできた神のみ言「律法」を読み聞かせ、そのみ言に立ち返り、その言に従って生きることを促した。
かつて石に刻まれたみ言を、彼らの心に刻み、純粋な選民の精神を鼓舞することで、イスラエルの復興につなげた。
ネヘミヤは、エルサレムを治める指導者として、神殿の守りを固める環境を整備し、かつて町を取り囲んでいた城壁の再建に取り組んだ。
彼の働きにより、神殿を中心としたエルサレムの町は、城壁の守りを固め、周辺の民の攻撃を防ぐことができた。
またエズラとネヘミヤは協力して、律法の遵守に努め、捕囚の地で異教徒と結婚した者たちの結婚を解消し、ユダヤの血統を清める改革も断行した。
こうして、神の独り子イエスが誕生する400年前には、イスラエルの魂が復興し、内外共にユダヤ教の改革がなされていった。
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