2026.01.20 17:00

シリーズ・「宗教」を読み解く 396
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑮
神殿の再建に取りかかる共同体
ナビゲーター:石丸 志信
新バビロニアを滅ぼしたペルシャ王クロスは勅令を発布し、バビロンで捕囚の身に甘んじていたイスラエルの民を解放した。彼らが故郷に帰ってエルサレムの神殿を再建することを許可したのだ。
王の布告には次のように記されていた。
「あなたたちの中で主の民に属する者はだれでも、エルサレムにいますイスラエルの神、主の神殿を建てるために、ユダのエルサレムに上って行くがよい。神が共にいてくださるように」(エズラ記 第1章3節、新共同訳)
王の布告に心動かされたユダとベニヤミンの家長、祭司、レビ人らは、早速神殿の再建のためにバビロンを離れ、エルサレムに帰還することを決めた。
この時、総督の任を受けたゼルバベルが率いた民は4万2千人余りであったという。
イスラエルの民は、異邦の地で代を重ねて生活する中で、多少なりともヘレニズム文化の影響を受けてきた。イスラエルの民の心に根付くヘブライズムと突き合わせながら、東西文化の融合の気配もあった。
そのような時代に、改めて自ら問わなければならなかったのは、「わが民イスラエルとは何者か」であった。苦難の中にあってこそ、自己省察が深められていったのだろう。
また、預言者が新しい時代の到来と希望の往来を告げるようにもなった。そこにきて、新バビロニアの崩壊と新たな帝国の出現による解放である。
「神の民」であるイスラエル共同体の一人一人の胸にイスラエル王国再建の希望が燃え立ったのではないか。
すぐさま帰還に向けて行動することができた者もいたが、異邦の地の生活に慣れ、その地にしっかりと根を張って生活していた者たちもおり、ペルシャ帝国内でも主要な役割を担っていたが故に、容易に帰還することができない者も数多くいた。そのような人々は、帰還者を支援する側に回った。
帰還後、神殿の再建とイスラエルの国の復興を願った民は、律法に従ってまず祭壇を築いて燔祭(はんさい)をささげ、それを日々続けた。その精誠の土台の上で、翌年には神殿の建設に取りかかることができた。
イスラエルの国の都エルサレムに据えられた神殿は、彼らの精神的支柱であり、彼らを導く主なる神との相まみえる場でもあった。
神殿の基礎が添えられた時、祭服を身に着けた祭司を中心に、集った民は声を合わせ力強く神への感謝と賛美をささげた。老いも若きも万感の思いが込み上げ、涙を流した。
「昔の神殿を見たことのある多くの年取った祭司、レビ人、家長たちは、この神殿の基礎が据えられるのを見て大声をあげて泣き、また多くの者が喜びの叫び声をあげた。人々は喜びの叫び声と民の泣く声を識別することができなかった。民の叫び声は非常に大きく、遠くまで響いたからである」(エズラ記 第3章12~13節、新共同訳)
「神の民」共同体の再建の基となる神殿建設が始まった。
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