シリーズ・「宗教」を読み解く 395
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑭
苦難の中から立ち上がる共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 創造主なる神との契約で「神の民」となったイスラエル民族は、約束の地カナンに定着してから400年の後、12部族連合を経て、サウルを王に頂く統一王国を建国した。

 ダビデ王の時にエルサレムに都が据えられ、契約の箱は幕屋に納められた。その子ソロモンの時には神殿建立が許された。
 聖都エルサレムに神の宮が建ち、この国は全盛を極めたが長くは続かなかった。子の代には南北に分かれてしまった。

 北の王は神の願いから離れていった。神は預言者を送り、シナイで契約を結んだ唯一なる神に立ち返るよう呼びかけたが、その声に耳を傾けずかえって預言者を排斥してしまった。
 その後、国は近隣の強大国の侵略を許し滅ぼされた。

 南ユダ国の王は善政を保ち比較的長く代を重ねていったが、そこにも悪弊は入り込み、国は傾いていった。
 北の滅亡を見ながら同じ滅びの道を行くのかと警鐘を鳴らす預言者の声があったが、厳しいその声に耳をふさいだ。

 ついに彼らも新バビロニアの脅威に屈し、神殿は破壊され、国を失い、指導者らはバビロンで捕囚の身となった。その時になって初めて彼らは心から泣き、神に嘆きの声を上げた。
 次のような詩編が遺(のこ)されている。

 「われらはバビロンの川のほとりにすわり、シオンを思い出して涙を流した。われらはその中のやなぎにわれらの琴をかけた。われらをとりこにした者が、われらに歌を求めたからである。われらを苦しめる者が楽しみにしようと、『われらにシオンの歌を一つうたえ』と言った。われらは外国にあって、どうして主の歌をうたえようか。エルサレムよ、もしわたしがあなたを忘れるならば、わが右の手を衰えさせてください。もしわたしがあなたを思い出さないならば、もしわたしがエルサレムをわが最高の喜びとしないならば、わが舌をあごにつかせてください」(詩篇 第13716)

 どん底の中での嘆きの果てに悔い改めが起こった。なぜこのような境遇にあるのか、私とは何者か、イスラエルとは何者かと、問い続けることとなった。
 異教の民から最も非難され中傷されその存在さえ否定される者こそ、この民にとって最も重要な存在であることに気付いていくことになる。

 失われた国を思う時、その国は父祖たちを導いた神が約束し、時満ちて建てた国であったことを思い起す。
 都は失われ聖所は破壊されたが、先人たちが語り次いできた伝承は記憶の中に生きており、それを集め文字に書き起こしていった。父祖たちに語られた神のみ言は束ねられ聖なる経典の形を取る。

 経典はイスラエルの民の間に読み継がれ、先人たちの経験が彼らの経験となってよみがえり、苦難の中にも共にある神を再発見する。

 彼らは神のみ言を通して、「神の民」としてのアイデンティティーを取り戻していった。
 70年の歳月を経て捕囚の民は解放され、再び故郷に帰って精神的支柱である神殿を再建し、再び祖国を取り戻す希望を胸に歩み始める。



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