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青少年事情と教育を考える 308
「親への感謝」を考える

ナビゲーター:中田 孝誠

 今年最初のテーマとして、「親への感謝」について取り上げてみたいと思います。

 よく「感謝の心を忘れずに」と言います。感謝ということは、教育(人格形成)においても大切にされてきました。学校の道徳授業など、親への感謝はよく取り上げられます。

 民間の調査を見ると、子供の65%が「親に伝えられていないけれど、伝えたいこと」があり、そのうち9割近く(89%)は「親への愛・感謝」でした。

 一方、親から子供への場合も「伝えたいことがある」人の中で、最も伝えたいのが「子への愛・感謝」という人が最多の71%でした(オヤシル株式会社「家族関係ごとの話したいこと・聞きたいことに関する調査」202410月〜12月調査)。

 この調査自体は有効回答が106人と多くはありません。ただ、口に出してはなかなか言えなくても、心の中では親子間で愛情や感謝を伝えたいと思っている人が多いことがうかがえます。

 ちなみに「国民の祝日に関する法律」では、55日のこどもの日を「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と定めています。祝日が制定された1948年当時は出産が命懸けのことであったため、母への感謝を特に強調したようです。

 またある企業は、225日を「親に感謝の気持ちを伝える日」に定めています。「2」は親子、「25」は「ニコニコ」つまり笑顔を表すそうです。

 さて、親に対する感謝について長年研究している池田幸恭・和洋女子大学教授によると、親に対する感謝の特徴の一つに、「世代間互恵性」(親から受けた恩恵を次世代の子供たちに返報しようとする)があります。親に対する感謝は、親子関係の中だけにとどまらず、次世代の子供たちを育てる意識につながるというわけです。

 池田氏は「親に対する感謝とは、これまでに親から与えられてきた恩恵や影響に目を向ける中で、自身の親子関係の理解を深めこれからの生き方を模索するための手がかりになるものであると考えられる」とも述べています(池田氏の論文『感謝に関する心理学的研究の動向からみた親に対する感謝の特徴』2019年)。

 もちろん感謝の心は上から押し付けて身に付くものではないですし、親に対して葛藤や反発を感じている人も少なくありません。それでも、親への感謝はその人の人生に大きな影響を与える、とても大きな意味があるということです。