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シリーズ・「宗教」を読み解く 390
ユダヤ・キリスト教の歴史に見る選民の共同体⑨
安息日の伝統を継承する共同体

ナビゲーター:石丸 志信

 新しいイスラエルとの自覚を持つに至った「教会」共同体の構成員には、「民族の神体験」とでもいうべき共通の神体験があった。

 それは、神の独り子主イエスの受難、死と復活に立ち合い、聖霊降臨によって生み変えられたというものだ。
 それが民族のアイデンティティーの根幹となったとはいえ、これが時代を超えて継承されるには、もう一つの要素が加えられなければならなかった。

 かつて神はエジプトを脱出したイスラエル民族にみ言を与えられた。
 モーセが手にした石板に記された十戒の一項目にはこう記されている。

 「安息日を心に留め、これを聖別せよ」(出エジプト記 第208節、新共同訳)

 モーセは、カナン入国を目前にして、シナイで頂いたみ言を再度民に語り遺(のこ)した。
 安息日について、彼はこう述べている。

 「安息日を守ってこれを聖別せよ。あなたの神、主が命じられたとおりに。六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、牛、ろばなどすべての家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。そうすれば、あなたの男女の奴隷もあなたと同じように休むことができる。あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったが、あなたの神、主が力ある御手と御腕を伸ばしてあなたを導き出されたことを思い起こさねばならない。そのために、あなたの神、主は安息日を守るよう命じられたのである」(申命記 第51215節、新共同訳)

 七日ごとの安息日は、労働から解放され休息することが目的ではなく、全てを置いて神と共に過ごす一日だという。
 そこで彼らイスラエル民族は、神のみ言を読み、理解を深めるための議論を交わし、神に感謝と賛美をささげることとした。それが安息日の礼拝となった。その中で、出エジプトの出来事を自ら体験したかのように思い起こすことができたのだ。

 安息日の始まりは金曜の日没後。家族で共に感謝の祈りをささげ、夕食を囲む家庭の礼拝が行われる。
 七日ごとに訪れる安息日は、創造の七日目、主の安息を記念し、創造完成の喜びを先取りする日でもある。

 イスラエル民族は、われと宇宙万物の起源となった出来事を思い起し、神の創造の御業(みわざ)の完成を仰ぎ見て、希望を抱き、再び日常に帰っていく。
 六日間は額に汗して働き、たとえ神を忘れていたとしても、七日目は神の懐に帰る一日となる。

 七日のサイクルで繰り返し訪れる安息日の礼拝において、選民の根幹にある神体験を繰り返し追体験しながら、次世代へとその体験を継承していくことができたのだろう。

 新しく生まれた「教会」共同体においても、この安息日の伝統が取り込まれていくことになる。



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