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青少年事情と教育を考える 297
日本人の幸せは「家族」と「愛された実感」にある

ナビゲーター:中田 孝誠

 「日本人にとって一番大切なのは家族」といった調査結果は、これまでたびたび公表されてきました。
 今回は4月に公表された世界30カ国を対象にした調査を紹介します。
 調査を実施したのはイプソスというフランスのパリに本社がある調査会社で、対象は世界30カ国、約24千人です。
 この調査で見えてきたのは、日本人の一番の幸せは「家族関係」と「感謝と愛されている実感」にあるということです。

 この中の「人生において、どのような部分で幸せを感じていますか」(17項目から三つを選択)という質問に、日本人の回答で最も多かったのは「家族との関係」(全体の41%)でした。「感謝されている・愛されていると感じる」もほぼ同じ(41%)です。
 次いで「自分の人生には意味があると感じること」(31%)でした。

 逆に、幸せではないと感じる要因で最も多かったのは「経済的な状況」(64%)、次いで「自分の人生には意味があると感じること」(27%)、「精神的健康・ウェルビーイング」(24%)でした。

 「家族」や「感謝・愛されている」が幸せの最も大きな要因であるのは、日本だけではありません。調査を行った30カ国の平均でも「家族」(36%)、「感謝・愛されている」(35%)が上位です。

 また、幸せだと感じない要因も、平均で最も高いのは「経済的な状況」(58%)でした。こちらも日本と同じく他の要因を大きく上回っています。
 一方で、今の自分は「幸せである」という回答は、日本人は60%で、30カ国中27番目でした。

 国あるいは文化の違いから、こうした調査では欧米に比べて日本人の数値が低く出ることは、以前から指摘されてきました。
 実際、「個」を重視する欧米の価値観に対して、日本人の価値観は家族や友人など人との関係性が幸福につながっていると指摘する研究者もいます。

 こうしたことを考えると、今は弱くなっているといわれる家族や地域との関係をもう一度つくり直し、より良いものにしていくことが、私たちの幸福につながるといえるのではないでしょうか。