2025.05.30 17:00
青少年事情と教育を考える 293
中学生の悩みの相談相手、6割以上は「お母さん」
ナビゲーター:中田 孝誠
前回は、6割以上の高校生が「母親になること」を思い描いているという話を取り上げました。
今回は、中学生世代の悩みの相談相手は圧倒的に「お母さん」であるという話です。
厚生労働省が、2万人余りの中学2年生(14歳)を対象に2024年5月に行った「21世紀出生児縦断調査」によると、「悩みや不安がある」生徒は40.2%、「特にない」は56.5%でした。
悩んでいることの中身は、「学校や塾の成績に関すること」が最も多く22.7%、以下、「進路」16.0%、「友達との関係」11.1%、「自分の容姿」6.9%などです。
そして、こうした悩みや不安を相談する相手(複数回答)は、「お母さん」が65.0%、次いで「友人」51.9%、「お父さん」28.3%でした。
また、進路や結婚など将来についての相談も母親が中心のようです。
将来について母親と「会話をする」生徒は52.0%、「会話をしない」が47.5%でした。
特に、将来のことを「具体的に考えている」子供では6割近くが「母と会話をしている」と答えています。
一方、父とは、「会話をする」が37.5%、「会話をしない」が61.1%となっており、将来を具体的に考えている子でも、「父と会話をしている」は4割程度でした。
父親の割合も低いわけではありませんが、子供たちには母親が第一の相談相手になっていることが分かります。
共働きの家庭が増え、お母さんもさらに忙しくなっています。
また、児童虐待も主な虐待者の半数が実母で、実父を上回っています(実母が多いのは、夫婦関係が大きな要因の一つだという指摘もあります)。
こうしたさまざまな事情を考えても、理想だけではうまくいかないことが増えているのも確かです。
それでも、子供にとってお母さんはとても近い存在であることに変わりありません。
前回紹介したヨーロッパの格言「神はどこにでもいるわけにはいかない。故に母たちをつくった」に倣えば、母は神の代身ということになります。
家庭はもちろん、社会でも母という存在がもっと尊ばれてもいいのではないかと思います。