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ほぼ5分で読める統一運動 50
文鮮明師と金日成主席

稲森 一郎

 「1945年にキリスト教が責任を果たしていれば、7年で収拾できていたはずです。1952年には収拾されるはずだったのです。それが40年延長されました。ゆえに、1985年から1992年までの7年間で収拾しなければなりません」(『真の御父母様の生涯路程⑧』、137ページ」)と、文鮮明(ムン・ソンミョン)師は明確に語っています。

 このように、キリスト教会および宗教界の復帰、国際共産主義勢力の解放と救援、この二つが特に必要な期間であったために、ソ連崩壊(199112月)の直前の19911130日、文鮮明・韓鶴子(ハン・ハクチャ)夫妻は突如として北朝鮮を訪れ、126日、文師を幾たびか死地に追いやった怨讐(おんしゅう)である金日成(キム・イルソン)主席と歴史的な出会いを果たしたのです。

 かつて北朝鮮の監獄で3年近く拷問と過酷な強制労働を受けられた文師にとって、金主席は恨みの相手であり、共に相いれない関係にありました。
 しかし文師の真意は、金主席と北朝鮮を打倒することではなく、破綻した北の経済を支援しながら南北の平和統一を実現するということでした。そのことを理解した金主席は文師を受け入れたのです。

 文師夫妻は北へ行って一番悪い話から先に語りました。先に良い話をしませんでした。
 そうでなければ、根が抜けないからです。スコップを根の下まで差し込んでやらなければなりません。適当に合わせていては、根の途中を切ってしまうのです。そうなれば、根が再び生き返ってしまいます。
 文師はそのように戦ってアメリカを屈服させ、ソ連を屈服させたのです。北朝鮮ともそのように戦ったのです。

 「神はいない」と言っている彼らに、「神様はこのように生きている」と教え、共産主義理論を抜き取ってあげ、その空白を埋めることのできる精神的、思想的、宗教的内容を提示しました。

 文師は北朝鮮の統治者金日成主席と会って韓半島(朝鮮半島)の統一問題に関連し、「主体思想」では南北を統一することはできないこと、文鮮明・韓鶴子夫妻が提示する「神主義」と、頭翼思想である「統一思想」によってこそ南北が平和的に統一され、全世界を主導することができる「統一韓国」となることを説きました。

 文師は127日、北朝鮮からの帰路、北京空港で真の愛の精神で北朝鮮に行ってきたことを語り、今回平壌に行った文師の心情は、秋の空のように晴れ渡ったものであったと述べ、怨讐の家に行くのではなく、自身の故郷の兄弟の家に行くようであったと述懐しました。
 「許せ、愛せ、団結せよ」という文師の終生の信条を持って、北朝鮮の地を踏んだと述べました。

 金日成の主体思想は、根本自体を解決できる何の内容も持っていないこと、自主性、創造性、意識性はあるが、その上にある「真の愛」がないことを明言しました。
 そして主体思想は、外見上、文師の統一思想によく似ていること、従って金日成の思想は神だけ受け入れるようになれば、完全に統一思想とぴたっと合うと指摘しました。

 サタンは神の摂理を先取りして、原理型の非原理世界をつくろうとするから似ているということです。それは、北朝鮮が神を受け入れるようになれば、金日成の主体思想は文師の統一思想と一つになれるということを意味します。

 文鮮明・韓鶴子夫妻の訪朝直後の1213日、ソウルで開かれた南北首相会談において、歴史的な「南北間の和解と不可侵および交流・協力に関する合意書」が交わされ、その後「朝鮮半島非核化共同宣言」(1992年1月20日)が調印されました。
 これはベルリンの壁の崩壊に匹敵するほどの劇的な展開だったのです。