青少年事情と教育を考える 260
子供の性被害、小学生が増加

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、子供たちのインターネットの利用時間が増えていることを取り上げましたが、一方で子供たちがさまざまなトラブルに巻き込まれないよう対処することも重要になっています。
 中でも子供の性被害を防ぐことは大きな課題です。

 警察庁の「令和5年少年非行及び子供の性被害の状況」によると、昨年の児童買春などの被害児童(18歳未満)は1381人、児童ポルノの被害児童は1444人でした。

 このうち児童が自分で自分の画像を撮影したのが527人で全体の3割を超えています。
 さらにその半数の266人が中学生、76人が小学生でした。特に小学生がこの5年ほどで2倍に増えたのが目立ちます。

 また、大きな問題の一つがSNSをきっかけにした被害です。
 昨年の被害児童は1665人でした。ここ数年は徐々に減少しているものの、過去9年間は1600人を超えています。
 このうち小学生の被害が139人で、こちらも急激に増えています。

 子供たちの性被害に対して、警察庁と文部科学省は「STOP!自画撮り」「ネットには危険がいっぱい!」などの啓発資料をウェブサイトに掲載し、画像や動画の投稿に注意するよう呼びかけています。

 こども家庭庁は、児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策について検証する専門委員会を立ち上げました。
 また政府は、子供と接する職業の人たちに性犯罪歴がないか照会できる「日本版DBS」の創設を目指しています。

 もちろん、こうした取り組みだけでなく、家庭の意識啓発が重要です。「子供たち一人一人が、健やかに成長することができる社会」(警察庁ウェブサイト)をつくるのは、地域社会の基盤である各家庭が力を合わせることによって可能になるはずです。