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青少年事情と教育を考える 259
子供たちのネット利用、平日でも5時間

ナビゲーター:中田 孝誠

 子供たちの平日のインターネット利用時間が約5時間になることが、こども家庭庁がまとめた「青少年のインターネット利用環境実態調査」で分かりました。

 調査は毎年行われているもので、前回までは内閣府、今回からこども家庭庁が実施しています(調査対象は、満10歳から17歳の5000人。その保護者5000人。0歳から満9歳の子供の保護者3000人)。

 それによると、インターネットを利用している子供(調査対象となっている満10歳から17歳の青少年)は98.7%です。
 平日1日当たりの平均利用時間は約4時間57分で、1年前に比べて約16分増加しました。
 学校種別では、小学生(10歳以上)は約3時間46分、中学生は約4時間42分、高校生になると約6時間14分です。
 また、平均利用時間のうち、「趣味・娯楽」での利用が約2時間57分を占めました。

 ネットの利用内容は、小中高とも動画の視聴やゲーム、音楽、あるいは検索が9割を占めています。勉強での利用は7〜8割でした。

 もう一つ、今回の調査結果の特徴として挙げられるのは、学校から配布・指定されたパソコンやタブレット端末(いわゆるGIGA端末)を使っている子が増えていることです。

 ネットを利用するときに使っている機器は「スマートフォン」が74.3%で最多ですが(10歳以上になると自分専用のスマートフォンを利用している割合が70.4%と7割を超えています)、次いで「GIGA端末」が前年度より6ポイント上がって69.7%でした。

 GIGA端末を利用するときは、「勉強をする」(80.7%)が最も多く、次いで「検索する」(62.9%)でした。
 GIGA端末の利用が増えるということは、普及が進んでいる結果と見ることもできます。
 ただ、一部ではゲームやSNS、動画視聴などに使用する子供がいるとして、対応を求める声もあります。

 ちなみに今回の調査では、「動画を見る」18.5%、「投稿やメッセージ交換をする」7.6%、「ゲームをする」6.2%でした。

 一部の自治体では、GIGA端末の検索の履歴から子供たちの支援につなげるよう模索しているケースもあります。
 子供たちが身体の危険に関わるような検索をした場合、すぐに把握できるようにするというわけです。

 例えば、東京・世田谷区教育委員会では、①有害サイトへのアクセスを遮断し、調べ学習に使いやすくする。②子供たちが乱暴な言葉を端末に入力した場合に警告を発する。③子供たちの検索履歴を把握し、必要な場合は支援につなげる、という方針を出しました。ただ、②と③は子供たちの内心に関わる問題であるとの声が上がり、取りやめました(「教育新聞」3月7日付)。

 子供たちの自殺予防にGIGA端末を活用するという方針も文部科学省から出されています。
 授業で活用すると共に、子供たちの安全や成長にどう生かせるかが課題になりそうです。