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シリーズ・「宗教」を読み解く 305
修道院の祈り 3
聖ベネディクトの戒律

ナビゲーター:石丸 志信

 「西欧修道士の父」といわれる聖ベネディクト(480年ごろ~547年)が創立したモンテ・カッシーノの修道院では、彼の著した『聖ベネディクトの戒律』に従って規則正しい祈りの生活が営まれていた。

 彼の『戒律』は、修道院生活の根本原則として後世に受け継がれていくことになり、キリスト教の伝統が保持され、1000年に及ぶ中世キリスト教文化を導くものとなったともいえる。

聖ベネディクト(フラ・アンジェリコ画)

 『戒律』の序文は、「子よ、心の耳を傾け、師の教えを謹んで聴きなさい。そして慈しみ深いあなたの父の勧告を喜んで受け入れ、これを積極的に実行に移しなさい」との呼びかけで始まり、「まず、どのような善いおこないを始めるにあたっても、神がそれを完成に導いてくださるように、心を尽くして祈りなさい」と諭し、さらに、使徒パウロのごとく「もしこの国の幕屋に住むことを望むならば、わたしたちは善いおこないを実践しながら、そこに向かって走らなければなりません」と説く。
 序文に続き、73項目の戒律が記されている。

 その内容を見れば、修道生活が単なる禁欲のためにあるのではないことが分かる。
 聖ベネディクトは修道院を「主に仕えるための学校」と呼び、祈りと労働、聖なる読書を通して、神のみ言に従って生きるよう導いている。真の意味でキリスト者であろうとする者たちに対して、生涯にわたる修道生活を通して徳を身に付け、神の国の一員にふさわしい者になるための戒律であることを示している。

 『聖ベネディクトの戒律』に定めた修道院生活の特徴は、「聖務日課」として時課の祈りを定めたことだ。時を決めて聖堂に集まり、共に詩篇の祈りを唱え賛美を歌う。

 一日の祈りの時間は深夜に始まり、早朝の朝課、日中の一時課、三時課、六時課、九時課、晩課、終課となる。
 節目、節目に祈りと賛美をささげながら神と共にある生活実践を続けていくこの伝統が、キリスト教2000年の歴史を今日まで根底で支えてきたものと思う。

【参照】
古田暁訳『聖ベネディクトの戒律』(すえもりブックス、2000年)



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