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脱会説得の宗教的背景 20
「汎神相論」の意味について

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

「汎神相論」とは?
 さて、「統一原理」を「汎神相論」といいます。これは「汎神論」ではありません。ところが、この言葉の響きから、「統一原理」は「汎神論」であると勘違いして批判する反対牧師がいます。この「汎神相論」の意味を正しく理解する必要があります。

 「統一原理」を哲学的にまとめた「統一思想」では、神の属性には「神性」と「神相」があるとします。
 「神性」とは、神の“性質”の側面であり、心情・ロゴス・創造性をいいます。
 「神相」とは、神の“かたち”の側面であり、性相と形状(心と体)、陽性と陰性(男と女)のことをいいます。

 神は、ご自身に“似せて”被造世界を創造されました。この神の神相があまねく被造世界に満ちあふれていることを「汎神相論」と呼ぶのです。つまり、「汎」「神相」論ということです。

神の創造の目的
 では、なぜ神は全ての被造物を神相(性相と形状、陽性と陰性)に似せて、創造されたのでしょうか。それは“喜び”のためだというのです。
 『原理講論』に「神の喜びのための善の対象」(65ページ)とあります。
 「喜び」はいかにして生じるのでしょうか。

 それは、「喜びは独自的に生ずるものではない」というのです。もし、独りで喜んだり、笑ったりしている人がいたら、不気味に感じます。必ず、何らかの対象が必要であるということです。それは、神も同じなのです。次に喜ぶためには、「自己の性相と形状(内性と外形)のとおりに展開された対象」(同)を通して、喜びが生じるのです。

 平易に言い直すと、自分の性稟(天来の性質)によく似た対象がいて、その対象との“授受作用”を通じて喜びが生じるのです。親が、自分の子女を見て喜びを感じるのは、そういうことです。

 人間の場合、他の被造物とは違って、神の神性(心情・ロゴス・創造性)に似せて創造されています。
 聖書に「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」(創世記127)とあるとおり、神は人間を“実子”として創造しておられるというのです。

 すなわち、神は喜びのためにご自分の本性相と本形状に似せて、人間を「形象的個性真理体」として創られたのです。
 その実子である人間を喜ばせるため、人間に似せて万物世界を「象徴的個性真理体」として創られたというのです。

 被造物の創造は、人間を喜ばせるためです。神は、人間が“喜ぶ姿”を見て、喜ばれるというのです。こうして神と人間が共に幸せを感ずる世界を創ろうとされたのです。

 これが、汎神相論として、被造世界を創られた理由なのです。
 結局、喜びは独自的に生じないため神と分離した存在が必要であり、その“分離した存在”は“自己の相似形”であり、よく似ていれば似ているほど“情の共鳴現象”としての喜びが大きくなるのです。

(続く)

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第5回『超越神』(創造神)と『汎神論』(内在神)の和合統一」はこちらから