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脱会説得の宗教的背景 21
「汎神相論」である被造世界に神が運行される

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

 「汎神相論」は内在神ではありません。神に似せて造られた(「神相」があまねく満ちている)宇宙の動きの中に、神が“遍在される”ということです。
 『原理講論』に「創造目的を完成した世界において…神は一切の被造物の中に遍在されるようになる」(62ページ)とあるとおりです。

 聖書を読むと、モーセの時、“燃える柴の火の中”から神がモーセに語りかけたこと(出エジプト記34)。
 出エジプトの時、イスラエル民族を“火の柱と雲の柱”(同1321)によって神が導いたこと。

 義人ヨブに対し、“つむじ風の中”から神が語りかけたこと(ヨブ記381)。
 東方の三博士が“星を見て”イエス様を訪ねてきたこと(マタイ22)など、神は被造物に“遍在”され、被造物を通して啓示を与えられます。

 これは、被造物が“神の似姿”として造られ、その被造物の動きの中に、神が遍在しておられるから起こる現象なのです。
 このように、なぜ神が被造世界に遍在されるのか、「統一原理」はその理由を論理的に述べているのです。

 神の遍在に対し、日本では御神木や磐座(いわくら)などに“しめ縄”を巻き、それを神として祀(まつ)ったりしました。
 それは霊的体験をする中で、そこに神が宿っていると考えたため、祠(ほこら)などを建てて祀ったりしたのです。
 東洋では、森羅万象に“神仏”が宿るとして、「内在神」を信じてきたのです。

 しかし「統一原理」の観点から見れば、これは被造物が“神の似姿”として造られたため、そこに神が運行(役事)され、遍在するようになるからです。

 被造物は、神によって創造されたもので、被造物と神は“分離”しています。
 故に「統一原理」は、キリスト教が説く「超越神」ですが、神の“遍在性”を説くことで、東洋における“内在神”的な観点を包摂することのできる論理を持っています。

 これによって、今まで敵対してきた「超越神(創造神)」と「汎神論(内在神)」の両者を和合させていくことができるのです。
 これは、西洋思想と東洋思想の“神観”を一つに和合する、優れた観点を提示していると言えます。

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第5回『超越神』(創造神)と『汎神論』(内在神)の和合統一」はこちらから