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心情開拓
心霊を育てる生活原則(125)

 原理を生活化するために、李耀翰(イ・ヨハン)先生(1916~2019)が信仰のイロハを日本人の心情を分析しながら説かれた講話集、「心情開拓~心霊を育てる生活原則」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 家庭連合の教会員の皆さまはもちろん、世代を超えて多くのかたに読んでいただきたい書籍です。

李耀翰・著

(光言社・刊『心情開拓~心霊を育てる生活原則』より)

9 変貌山上のイエスとペテロ
(1974年1215日 東京教会)

▲李耀翰先生

許されない自分の判断

 この不信仰なペテロが、そのまま3年間ついてきたというのは、何か理由をもっていたのでしょう。教会生活を長くしている人たちの中で、神と自分との体験がなくて教会に長くいる人たち、その人の頭には、私たちの教会の過ぎ去ったことはたくさん知っているけれども、きょうという、未来の価値に対して喜んで誇るべき内容を、全然もっていないのです。

 信仰の失敗者は、過去ばかり考えているのです。だから主体に絶対服従しようという信仰が徐々に冷えていく、そういう兄弟を私たちの中に多く発見するのです。

 だから信仰の一生というのは、イエス様の一生から見て、神に選ばれた人と一緒に暮らし、なんでもかんでも神に聞いていく、暮らしていくのです。それがイエス様の信仰だったのです。だから転換期には必ず祈祷して、神に聞いて出発したのです。どんな迫害に遭っても、神に聞いて自分なりに判断したことのないイエス様、あるいはヤコブでした。

 必ず神に祈ってみて、必ず聞いてみるのです。自分の常識、自分の経験で判断しないのです。家庭から出発する転換期において、イエス様は自分勝手に出ていったはずがないのです。ユダヤ教やたくさんの信者を回る時にも、だれが神に選ばれて、選ばれた自分を知っているのはだれかを、神に聞いたのです。そういう人を準備された神様に対して、自分は常に、神と自分との関係、また十字架につけられる最後の時にも、神と自分との関係を重要視して、十字架につけられていったのです。信仰者として、生命として守っていかなければならないことです。

 本当に私は神と共に暮らしているか。本当に私は、神に召されているか。なんでもかんでも聞くべき主管者に対して、相談したがる心をもっているか。自分なりに、軽率に判断してしまうことはないか、ということです。

 だから、弟子たちにおっしゃったのは、選ばれた者に聞けということだったのです。ペテロは、自分なりにいつも判断してしまうので、最後にイエス様を裏切るようになっていったのです。

 ああいうふうに信仰していけば、いつか目的地が違っていきます。兄弟と交わってみる時、考え方、情の使い方により、目的が違ってくることを分別しなければならないのです。私たちの中に怨讐(おんしゅう)がいます。お互い暮らす中に怨讐がいるのです。イスカリオテのユダが「高い油をそんなつまらないことに使う」と言った時に、ユダが直接イエス様に言う前に、自分たち同士でぐちゃぐちゃ言ったに違いないのです。

 秘密、価値の説明は、体験以外にはできません。だからペテロは、一定期間イエス様と共に暮らしながらも、不信の自分をそのままほっておいたのです。そのため、「神の者に絶対聞け」とイエス様が三年間教えたけれども、最後に「お前らもみな、帰るか」と言った時に、「私は主と共に死にます」とペテロは言ったが、イエス様は再び「お前も、知らないと言うであろう」とおっしゃった。その理由は、常に証(あかし)し教えたが、いつもペテロは自分の立場でイエス様を眺めていたのです。そこが本当に悩みだったのです。

 イエス様の路程は、私たちの路程です。ペテロの路程、ペテロの信仰姿勢は、不信する堕落人間が神を尋ねていく信仰者を、代表して見せているのです。

 転換期ということを言いましたが、イエス様が家庭から出発して、社会で四位基台をつくろうとして人を訪ね始めた、その転換の時はいつかを、私たちも知らなければなりません。

 私たちの生活の中で、いったい神がそうしているのか、自分の責任において、ある結果が出てきているのか。それは神と自分と両方あるのです。時は完成時代なのに、旧約時代に止まって涙を流す人を見たなら、動機よりも、み言(ことば)に対して、そして自分が選ばれた価値を、どれほど高めてきたか、そこをはっきりしなくてはならない。自分たちは動機をもって出発して、今どの位置にいるかということです。

 今私たちは、先生によって時を知ったのなら、その時に対する希望に燃えなくてはならない。その時に対して、その時になくてはならない価値が、以前と違った価値として実感しなくてはならないのです。

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 次回は、「『原理』を知ること」をお届けします。


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