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心情開拓
心霊を育てる生活原則(84)

 原理を生活化するために、李耀翰(イ・ヨハン)先生(1916~2019)が信仰のイロハを日本人の心情を分析しながら説かれた講話集、「心情開拓~心霊を育てる生活原則」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 家庭連合の教会員の皆さまはもちろん、世代を超えて多くのかたに読んでいただきたい書籍です。

李耀翰・著

(光言社・刊『心情開拓~心霊を育てる生活原則』より)

4 復帰歴史に見る生活原理
(1970年1121日)

▲李耀翰先生

【モーセ路程】
山の上の祈祷会での出来事

 山に祈祷会に行った時のことです。ある人が、「この野郎、ヨハネという人間がここに来た。韓国に再臨主が来たと言うやつだ。皆さん、来てみなさい。この人間だよ。この人間。この人間に一つ聞いてみなさい」と言うのです。しかし聞いてみると、だれも聖書的に勝つ人間は絶対ここにいそうにありません。自分がいくらこの人と議論してみても、絶対勝つことはできないのだけれども、このやつ変なこと言っているから、大勢の前で、「この野郎と聖書討論をして勝つ人がいるなら出てこい」と言うのです。

 対話してみると、どんどん自分が話せなくなるのです。だから青年たちとか、長老派教会の祈祷会に来た人とか、何百人もバーッと集まった、その前でやるのです。極秘にはやりません。とにかく自分たちは話には負けるので、「話して勝ちそうな者がいたら出てこい」と言うのです。しかし、だれも出てきません。

 そこで私が、「信仰者はそうではない。もし私が間違っていれば、皆さんも神に生きていると思うなら、かわいそうに思って祈ってやるか、私がもし聖書的に理論的に、あなた方に勝つなら、もう少し討論してみましょう。そうしないで、とにかく自分の信ずることと違うからといって、人を無視して鞭(むち)で殴るのは間違っている。あなたたちは、人を殴る権利をどこからもらったのか」、こう聞くと、「これみなさい、これこれ」と。大勢でやるのであって、絶対一対一で討論しようとしません。

 あとになって一人の長老が出てきて、「あなた一人によって、この大勢の者が祈祷会もできず、集会もできずにいる。だから、どうか出ていってもらえないか」と言うのです。それで大きなリュックサックを担いで、みんなの前を歩いて、山を下りるのです。その時の悔しい気持ち……。

 約1000名近く集まった所で、自分が話すと、信仰心のある人は、全部私の話ばかり聞こうとして、他の牧師のところへは行かないのです。それで、その長老は、「私がいるから何百人もついているが、あなた、この祈祷会に責任もないし、人の集会を破壊するのは常識的にあなたが間違っている、出ていってくれ!」と。

 大先生は山の下の村におられました。そして、下の村に下りていくと、ある人が走ってきて、刑事たちが動員されて私を捕まえようとしているので逃げるようにということだったのです。たまたま私は山を下りてきていて、刑事たちは私を捕まえようと上がっていたので、会わずに下りることができたのです。

 それで大先生に報告すると、ソウルへ行こうということになりました。ソウルに行っても、警察署の刑事たちが捕まえに来ました。なぜかというと、全牧師が大先生のことを、「北から来たキリスト教信者だと言っているが、南のキリスト教会に入って破壊しようとしているスパイだ」と報告したので、警察でびっくりして捕まえに来たのです。キリスト教会からとても悪い報告を受けて、牧師の言うことをそのまま真に受けて捕まえに来ました。

 私が大邱(テグ)へ行った時、一週間警察に呼ばれました。そして、私たちの理念、礼拝した説教内容とかみな作って、一週間くらい警察署で毎日調査を受けました。その時私たちは、一人、二人しかいなかったのです。そういう時のことを考えると、もう何とも言えません。

 今は、「統一教会から来ました」と言うと、向こうが恐縮するのです。牧師やらがあまり私たちを攻撃したからです。今までやったことへの良心の呵責(かしゃく)があるから、「統一教会から来ました」と言って悠々と入ると、これから聞かなくてはなりません。「相当あなたたちは、私たちを誤解している。私たちに対して相当言っただろう」と言うと、黙っているのです。

 今はもうみな塩にぬれた白菜みたいになっています。その代わり、私たちに指導者がいないのです。牧師と付き合って、聖書的、信仰的説明をする指導者がいません。伝道者がいないのです。あまりに若い、信仰経歴もない、聖書も知らないのです。何がどこにあるか、マタイ福音書といっても、何も知らない、既成教会の教育を受けずに、「原理」だけ修練して出ています。あなたたちも、何の聖書がどこにあるか知らないものだから、その人の知っていることを取り扱って、その人の間違っているところをまず整理しながら、こちらのことを出さなければならないのに、自分が知っているのがそれしかないものだから、すぐそれをもち出します。まず、相手の知っているものを整理してあげなければならないのです。

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 次回は、「伝道師の使命」をお届けします。


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