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青少年事情と教育を考える 215
増え続ける「家庭内暴力」

ナビゲーター:中田 孝誠

 最近の少年犯罪、少年非行を見ると、全体的には減少傾向にあります。もちろん社会に衝撃を与える事件もありますが、統計としては増加しているわけではありません。

 その中で、大きな問題になっているのが、大麻の浸透です。
 警察庁のまとめによると、大麻取締法で検挙される10代は年々増加、昨年は994人でした。この5年間で5倍に増えています。

 それともう一つ、気になるのが「家庭内暴力」の増加です。
 警察が少年相談や補導活動を通じて昨年認知した件数は4140件。10年前の2012年(1625件)から、約2.5倍増えていました。

 昨年の件数のうち、小学生が762件、中学生が1745件、高校生が1209件です。暴力をふるう相手は「母親」が約6割の2352件。次が家財道具などの「物」(615件)で、「父親」が533件でした。

 また、暴力の原因・動機は「しつけ等親の態度に反発して」が2718件で6割以上を占めています。次が「物品の購入要求等が受け入れられず」で517件でした。

 もちろん家庭内暴力と言っても、深刻さの度合いはさまざまです。中には、子供が成人の年代になっても家庭内暴力が続き、親が追い詰められて、「子供を殺してほしい」と専門家に相談に来るケースまであるそうです(『「子供を殺してください」という親たち』押川剛著)。

 次回も家庭内暴力について考えたいと思います。