https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4099

信仰の伝統
教会創立以前から文鮮明先生に侍って(70)

 家庭連合の信仰の長兄である金元弼(キム・ウォンピル)先生(1928~2010)の講話をまとめた書籍、「信仰の伝統」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 本書を通じて神様の深い愛と文鮮明先生の心情の世界、信仰の在り方を学ぶことができます。

金元弼・著

(光言社・刊『信仰の伝統 教会創立以前から文鮮明先生に侍って』より)

第二部[講話集]生命と愛と理想を懸けて
一、何よりも神のものを愛する

▲金元弼先生

怨讐を愛する

 先生が牢屋にいらっしゃった時、1週間もの間、口にもすることもできないような食事が出たことがありました。その穀物の名前はよく分からないのですが、皆さんがよく御存じの、麦の皮がついたままの食事でした。韓国では、そばを作るときの材料ですけれども、皮をむかないものは非常に固く、刃物のように角張っているのです。それを、皮をむかないまま煮るのです。今まで皆様にお話ししてきたように、非常にひもじかったので、量が多いだけ有り難いという心持ちで食べましたが、非常に固いので、胃に痛みを感じる日が7日間も続いたそうです。

 その時に、先生は、どういう気持ちでそれを受け取られたのかを話したいと思います。

 先生は、たとえ看守たちが囚人を早く死なせるためにこのような食べ物を出すとしても、それは人間の先祖が神の掟(おきて)に背いた堕落の報いであり、それがどんなに厳しいものかということを考えられました。先生としては、かえって感謝の心で本当に真剣にみ旨の道、復帰の道を勝利していかなければならないという深い決意に燃えたそうです。

 例えば、「統一原理」を人々に伝えていた時に、反対してきたたくさんの牧師や政府の人たちに対して、先生は何一つ弁明しようとされませんでした。

 ある時、神様は先生に、「牧師たちのお祈りを聞かせてあげよう」と言って、スピーカーを先生のほうに向けたそうです。すると先生は、牧師たちが「神様、どうか文(ムン)を早く天にお呼びくださいませ。早く死ぬようにしてくださいませ」という祈りをするのを耳にしたのです。先生は、彼らを恨むより、かえって「この人たちは分からずにそうするのだから、愛をもって伝えるみ言を牧師たちがたとえ聞き入れなくても、その牧師の子供たちは神のほうに帰ってくるだろう」という強い決意をされたのです。

 その当時、私たちは麦飯を食べることもできないという困難の中にいました。犬が残した物を食べるような状態でしたけれども、先生はお金を全部かき集めて、反対する牧師をホテルに呼び寄せて、立派な食事でもてなし、立派な部屋に泊めて「統一原理」のみ言を教えたのです。

 このように先生は、人を憎むのではなく、かえって迎えて愛していくというやり方をされました。先生がそこで私たちに教えてくださったことは、「お前たちは、反対された時に、弁明しようとするな。逆に、その人たちが反対することによって喜びがわき、神にもっと近づくというならば、私たちは彼らが反対するのを願わなければいけない」と、このような気持ちでした。弁明しようとせず、やることだけきちんとやって、実績を立てていこうというのが、先生の強い決意でした。

 先生がアメリカに来られた時、政府やキリスト教、ユダヤ教がそろって反対しました。先生は、「私が30年前にここに来ていたら、こういうことはなかったはずなのに、遅れて来たのでこういう目に遭うのだ」と考えられました。反対の声を、「なぜ早く、この国においでにならなかったのですか」と聞き取られたのです。

 そこで先生は、遅れた分までも、この時間に全部やらなければいけないという気持ちで、何倍以上もの心を捧げられたのです。

 私たちが、いろいろやっていると、自分としては悪くないと思っても、私たちに反対する人がいます。そういう時にでも、その声は私に対して、「あなたはもっと心を尽くして、神のために実績を上げるようにしなさい」と言っているように感じ取らなければいけないと思います。

 兄弟から、360軒の人から、街頭の人から反対されるようなときにも、「もっと人のために尽くしなさい」という言葉として感謝して受け取って、もっともっと尽くすならば、結局は、反対する人をも神に帰属させ得る、大きな力となるだろうと思います。

 普通、怨讐を憎しみや力で裁きますが、私たちは反対に、「神に、人にもっと尽くすことによって裁いていく」という点で異なるのです。憎しみの代わりに愛で、恨みの代わりに神のため、人のために尽くすことによって、憎しみでいっぱいになっている世の中を変えていかなければいけないと思います。

---

 次回は、「すべてを自分の責任とする」をお届けします。


◆『信仰の伝統』を書籍でご覧になりたいかたはコチラ