青少年事情と教育を考える 205
子供の近視が進行

ナビゲーター:中田 孝誠

 昨年の本連載で子供の視力低下について取り上げましたが、新しい調査結果が6月に公表されましたので、改めて取り上げておきたいと思います。

 子供たちの視力は年々低下しており、裸眼視力1.0未満の割合が過去最多を更新し続けています。そこで文部科学省は詳細を把握するため、近視実態調査を初めて実施しました(小中学生約8600人を対象に、昨年4月〜12月に実施)。

 それによると、裸眼視力1.0未満は、小学生が32.9%、中学生が54.2%でした。
 また、1.0以上は小学1年で男子79.5%、女子78.89%だったのに対して、中学3年になると男子42.46%、女子35.14%と一気に低下します。逆に0.3未満は、小学1年で男子1.0%、女子1.67%に対して、中学3年では男子25.52%、女子35.61%に増加していました。

 そして、「眼軸長(がんじくちょう)」と呼ばれる角膜から網膜までの長さは、学年が上がるにつれて長くなっていました。これが長いと近視の度合いが強いとされています。

 子供たちの近視が増えている現状について、スマートフォンやタブレットの使用時間の増加、そして新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛で、近視予防に有効な屋外活動が減ったことも要因と考えられています。

 子供たちの近視の増加は、日本だけではありません。シンガポールや韓国などアジアで目立っています。
 世界的にも近視の人は増加し、2000年の近視人口14億人、強度の近視人口1.6億人が、2050年にはそれぞれ48億人、9.4億人になると推定されています。

 文科省は、子供たちにタブレットを使う際の注意点として、「30cm以上離して見る」「30分に1回は休憩する」「時々体を動かす」「明るい部屋で使う」「寝る1時間前にはやめる」ことを呼びかけています。

 それと共に保護者に対して、「学校で配られた端末は学習に関係ない目的で使わない」よう子供たちと話し合ってほしいと述べています。
 1人1台のタブレットが配布ICT(情報通信技術)教育の時代、今まで以上に、子供の健康に気を配る必要がありそうです。