青少年事情と教育を考える 204
結婚がもたらす良き影響と幸福感

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、若い世代の未婚化について触れました。30歳の未婚者は男性50.4%、女性40.5%で、経済的な理由の他、結婚は個人の自由を縛るという否定的な声があるというデータを紹介しました。

 しかしそれとは逆に、結婚が人生の幸福をもたらすという調査結果もあります。

 例えば、米国の非営利団体である「アメリカ価値研究所」とバージニア大学による研究では、結婚の重要性についてデータを踏まえて紹介し、反響を呼んできました。

 それによると、結婚をしている人の方が経済的にも心身の健康においても安定した生活を送っています。
 結婚している人はそうでない人より多くの富を築きやすく、特に男性の場合は独身者より平均して寿命が長くなっています。
 結婚が、経済面、健康面で良い影響を与えているというわけです。

 そして、家庭の最も重要な機能の一つである子育て(次世代を育てる)については、結婚した両親と暮らす子供は同棲や事実婚などと比べて平均的に心身の健康が良好で、若者のアルコールや薬物乱用の危険性を低下させているという結果を報告しています。

 また、犯罪の加害者または被害者になる危険性も低下させています。逆に両親が離婚していたり未婚の場合、子供は学業不振や心の病、依存症、さらには虐待などの危険性が高まると述べています。

 この研究では、結婚を個人的なつながりというだけでなく、社会前・社会的利益につながるものと評価しています。

 「結婚する」ということは、「家族を持つ」ということでもあります。日本では、家族が持てることへの喜びや安らぎを結婚のメリットとして挙げる声も多くあります。

 先月公表された内閣府の「男女共同参画白書」などに見られますが、人生と家族の姿は多様化しており、社会保障制度も世帯単位ではなく個人単位の制度にすべきといった主張があります。

 しかし、こうした意見は結婚を一面的に見ていると言わざるを得ません。
 もちろん、家庭を維持するためには、夫婦お互いの努力が欠かせません。また、それを通してこそ、次世代が育つことができるわけです。

 少なくとも、結婚(そして家庭)がもたらす幸福(また問題が起きる危険性を低下させる力)について、もっと社会全体で考えていくべきではないでしょうか。

【参考】『独身者は損をしている』(アメリカ価値研究所編、明成社)