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信仰の伝統
教会創立以前から文鮮明先生に侍って(55)

 家庭連合の信仰の長兄である金元弼(キム・ウォンピル)先生(1928~2010)の講話をまとめた書籍、「信仰の伝統」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 本書を通じて神様の深い愛と文鮮明先生の心情の世界、信仰の在り方を学ぶことができます。

金元弼・著

(光言社・刊『信仰の伝統 教会創立以前から文鮮明先生に侍って』より)

第一部[証言]先生と歩んだ平壌・興南時代
四、興南解放と釜山伝道

▲金元弼先生

失敗をはずみとする

 先生は困難な中にあっても、余裕があるのです。難しいことがあっても、それを難しいものとはとらえられないのです。例えて言うと、商売をやっていて、それが失敗して、お金を全部失ってしまったとしましょう。そうした時には、お金を失ったことで苦しんだり、悩んだりします。それはちょうど、男がばくちをするためにお金を借りたけれども、ばくちに負けて、お金が吹っ飛んだという気持ちと同じだというのです。

 そういった時に、先生はどうとらえられるのでしょうか。将軍が戦いで負けることは、普通にあることだと考えるのです。私たちは一つ失敗したら、立ち上がれないくらいに心配して、悩むことがいっぱいあります。しかし、先生の場合は、「もっとよくやる」という心で、それを全部吹っ飛ばしてしまうのです。理解できますか。私がこういうふうに話すのは、皆さんがたまたま誤ったとしても、それに執着して悩まないで、それを刺激として、次のことに突進していく態勢を整えることが必要だと思うからです。

避難命令下でおばあさんを捜す

 先生が食口たちを訪ねていらっしゃるうちに、既に124日になっていました。戦況は、中共軍が参戦すると、また北が優位となって、国連軍は南下し始めました。その後、「全員避難せよ」という指示が下り、自由を求める人々は北から南へと、どんどん避難し始めました。

 みんなが次々に避難する中で、先生はあるおばあさんの食口を最後まで捜していらっしゃいました。市民は全部朝早くから逃げていったのですが、おばあさんを訪ねて、日が暮れるまでとどまりました。そのため避難するのが一番遅れました。

 そのおばあさんは、40歳になるまで字が読めなかったのですが、神の手が現れて聖書の文字を一つ一つ指しながら、読み方を教えてもらったのだそうです。また、いつも祈りに行く場所にある老木が、「おばあさん、倉庫にでもいいから私を使ってください」と頼んだり、高い山に登ろうとすると、風がフッと吹いておばあさんを持ち上げて、山の頂上に置いてくれたりしたのです。

 その方は、キリスト教を信じる前に、土俗宗教を信じていました。ところがある日、神様が現れて、「その宗教はそのくらいにして、これからは私の導く教会へ行きなさい。十字架のとがっている、あそこの教会に行きなさい」と教えられて、イエス様を信じるようになりました。そのおばあさんが先生に会ったのは76歳の時で、先生をメシヤと信じ、いつも先生のそばに座っては、先生の服に触りたがっていたのでした。

 124日に先生がやっと捜し当てたら、そのおばあさんは、もはや死ぬ寸前のような状態でした。私が先生の代わりに、そのおばあさんの所に行って、大きな声で先生の無事を伝えると、おばあさんはもうろうとした意識の中で、「うん」と返事をしました。このことを先生に伝えると、先生は初めて「では、これから避難しよう」と言われ、やっと出発することになったのです。

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 次回は、「朴正華氏を連れて共に南下」をお届けします。


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