青少年事情と教育を考える 199
「こども基本法案」、子供を養育する家族支援がポイント

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回は、自民党と公明党が国会に提出した「こども基本法案」について取り上げました。
 この法案について、もう少し見ておきたいと思います。

 法案は基本理念として、「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障される」ことや、「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障される」ことをうたっています。

 また、こども施策は「新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援」「子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援」「家庭における養育環境その他のこどもの養育環境の整備」だと説明しています。

 そして、「こどもの養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、十分な養育の支援・家庭での養育が困難なこどもの養育環境の確保」「家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備」を行うと記しています。

 この法案では「日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、…将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して」とうたっています。

 前回も触れたように、児童の権利条約では「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、…特別な保護及び世話」が必要で、「その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきである」とうたわれています。

 つまり、子供は保護の対象として適切な環境の中で成長し、段階的に権利を行使する主体になっていくと言っていいでしょう。
 その点では、自民党内や与野党の間で議論になった独立した「子どもコミッショナー」の設置は慎重であるべきだと思われます。

 一般的に基本法というのは、個別の政策を実現するための個別法の方向性を示すものです。
 こども基本法が成立すれば、それに基づいて政策を実現するための法律や大綱が制定されます。

 上記のような基本法の理念を見れば、今後の政策の基本は、子供の養育環境を保障する家族支援が大きなポイントになるのではないでしょうか。