青少年事情と教育を考える 194
大麻乱用やSNSによる犯罪被害続く

ナビゲーター:中田 孝誠

 少年非行や児童虐待、子供の性被害に関する昨年1年間のデータが公表されました。
 それによると、次のような傾向が見られました。

(1)ここ数年急増している大麻乱用が昨年も増加。
 大麻乱用では994人が検挙されました。5年前の2017年(297人)から約3.4倍の増加です。特に高校生は53人から186人に急増しています。
 大麻は「他の薬物より安全」と誤解して多くの若者は興味本位で使用してしまいます。しかし、「ゲートウェイドラッグ(入門薬物)」と呼ばれるように、さらに依存性が強い薬物に流れてしまう危険があると指摘されています。

(2)小学生による校内暴力事件の増加。
 昨年は159件で、前年から53件増加。また170人が補導されました。いずれもこの10年間で最多となっています。
 ちなみに中学校は342件、検挙・補導されたのは353人で、いずれも前年より増えましたが、この10年では減少傾向にあります。

(3)児童虐待の、警察から児童相談所への通告数の増加、特に心理的虐待の増加。
 昨年の通告人数は10万8059人で、前年より1068人増えました。特に面前DVなど心理的虐待が8万304人で7割以上を占めています。
 この傾向はここ10年ほど続いており、警察が心理的虐待の問題に力を入れていることが伺えます。
 また、保護された児童は4882人でした。

(4)SNSによる事件で被害に遭う児童数の高止まり。
 児童買春などの被害児童は1504人でした。この10年間は1700〜1800人台でしたから、わずかですが減少傾向にあります。
 一方で、大きな問題となっているのが、SNSをきっかけにした犯罪で被害に遭う児童の数が高止まりしていることです。
 性被害だけでなく、誘拐なども含めて1812人が被害に遭っています。こちらは5年前に1813人まで増えた後、高止まりしています。

 ここ数年、SNSの危険性は繰り返し叫ばれていますが、保護者にはより厳しい認識が必要だと言えそうです。