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信仰の伝統
教会創立以前から文鮮明先生に侍って(43)

 家庭連合の信仰の長兄である金元弼(キム・ウォンピル)先生(1928~2010)の講話をまとめた書籍、「信仰の伝統」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 本書を通じて神様の深い愛と文鮮明先生の心情の世界、信仰の在り方を学ぶことができます。

金元弼・著

(光言社・刊『信仰の伝統 教会創立以前から文鮮明先生に侍って』より)

第一部[証言]先生と歩んだ平壌・興南時代
三、興南監獄での伝道

▲金元弼先生

朴氏、弟子となる

 先生は、牢屋の中では、なかなか語られませんでした。しかし、神によって備えられた人には、冒険をしてでも、話し掛けられました。

 昼食の時に、ミスター朴(朴正華〈パㇰチョンファ〉氏)に近寄っていかれました。この朴という人は、2000人近い囚人の中で、総監督をしていた人です。しかし、初めて会う人ですから、その人がどういう人であるか、先生には全然分からないはずです。ところが、彼に話したことは、洗礼ヨハネは自分の責任を果たせなかったという内容でした。彼は、「そんなことはあり得ない」と反対しました。洗礼ヨハネは道を直くする立派な人であると信じていたからです。

 この朴さんという人は、若いころに勧士(クォンサ/伝道師)の職分をもっていた、熱心なクリスチャンでした。共産党が北のほうの主権を握ると、そこに入っていって、彼らに協力して働いていました。しかし、その職務を怠った罪で牢屋に入れられた人でした。囚人の中の監督となったのは、そのゆえであると思います。

 もし彼が先生に反対し、「これは良くない」と思うようになると、先生の立場は非常に難しくなったでしょう。それでなくとも、先生は、刑務所の中で要注意人物として注目を集めている立場でした。そこで先生は彼に、「そんなふうに言ってはいけないのに……」というひと言を残して別れました。

 ところが、その夜の出来事でした。朴さんは、体が非常に苦しくなって、寝ようとすると白い髪の毛のおじいさんが現れて、「お前、596番が誰か知っていて反対するのか」と叱るのでした。体が苦しくて苦しくてたまりませんでした。「お前はその人の話を聞かなければいけない」と厳しく言われ、「すみません」と悔い改めると、すっかり体が良くなりました。それは生涯において、初めての出来事でした。

 先生は次の日にも、昼食の時に、彼を訪ねました。彼に会うとすぐ、「あなた、きのう、こんなことが起こらなかったのか」と聞きました。彼はびっくりして、昨夜の出来事を話しました。そうしたら、先生が今度は、「イエス様を生んだマリヤは、よく使命を果たせなかった」というお話をされました。これはもっと信じられませんでした。彼は、「イエス様を生んだマリヤが使命を全うできなかったとは、何のことだろう」と考えたのです。そこで彼は、きのうよりもっと怒りました。

 その夜は、きのうよりも、もっと苦しい目に遭いました。白い髪の毛のおじいさんが現れて、また、きつく話しました。「596番がどういうお方であると思うのか。お前は、絶対に服従していきなさい」と言って、今度は本当に耐え難いような苦痛を体に与えるのでした。もうちょっとしたら息が絶えてしまいそうな苦痛なので、監督は、「あのお方のお話を絶対信じるから、許してください」と言って悔い改めました。

 彼は次の日に、先生に前日の夜のことを話しました。そうしたら先生は、もっと信じ難いお話をされたのでした。今、その内容は覚えていませんが、とにかく彼には信じ難かったのです。二回もひどい目に遭いながらも、彼は「とても信じきれない」と強く、激しく反対しました。それから3日間、本当に苦しい目に遭いました。それで彼は心から悔い改めて、3日目に「これから私は絶対に先生に侍る」と決心しました。そして彼は、牢屋の中での二番目の弟子になりました。

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 次回は、「先生の路程は原理の道」をお届けします。


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