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心情開拓
心霊を育てる生活原則(34)

 原理を生活化するために、李耀翰(イ・ヨハン)先生(1916~2019)が信仰のイロハを日本人の心情を分析しながら説かれた講話集、「心情開拓~心霊を育てる生活原則」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 家庭連合の教会員の皆さまはもちろん、世代を超えて多くのかたに読んでいただきたい書籍です。

李耀翰・著

(光言社・刊『心情開拓~心霊を育てる生活原則』より)

3 神に所有される者
(19701129日 水澤里〈ステンリ〉)

▲李耀翰先生

神の悲しみをほどく

 旧約時代からずーっと、祭物を中心にして、幕屋を中心にして、預言者を中心にして、私たちを育ててきました。それは、「お前はイスラエル民族だ、ヤハウェはお前のものだから、ヤハウェの願いはお前の生活そのものでなければならない」と教えてきたのです。これを今まで私たちは学んできました。

 そこで私たちは、どれほどの祭物精神をもって、主体者の恨みをほどこうとするのか。どれほど忠孝心、愛着心をもっているかが問題になるのです。

 私たちは神のものだというその奥には、神御自身が「汝(なんじ)は神のものだ」という所有権を実感しなくてはならないのです。その実感によって、私たちが体恤(たいじゅつ)するのは心情です。その実感によってどういう心情が与えられるかというと、神の恨み、悲しみを感じるのです。そのあとに、どういう責任をもつようになるかというと、神の悲しみをほどこうとするのです。使命がそこから出発するのです。

 自分がどの立場だと決定できずには、使命感がわき上がりません。決定したあとに、何か自分でない情が生まれてくるのです。これは、自然にこうなるのです。だから、神が悲しむのだなあ、ということを感じるのです。そのあとには、行く道が違うということを体験するのです。それで、結局は深く入ってみると、私たちが神に何か目的があって信仰したのではなく、要求する神様から私たちに言えない願いがあったということをつくづく感じる人が、結局、存在位置を得るのです。主管者との関係を結んだ証拠になるのです。その面が私たちに与えられないと、一方だけでは「自分は神のものだ」と言えても、「神に献祭した者だ」とは言えないのです。

 だんだん奥に入ってみると、自分が自分でないという心情を通じて、どうしたら神の恨みをほどくかということが、自分の知恵で、自然とわき上がるのです。その悲しみや恨みを、神からはなかなか私たちに言えないのです。所有されたあと、情的に授受してみると、その主体者の事情を深く感じるのです。そして同じく暮らしてみて、神の内容をだんだんと知っていくのです。

 言葉で教えてくれるのは、内的神との関係ではありません。結局、それは生命ではないのです。言葉をこう聞くのは、その言葉の裏面に、何かまた与えられるということです。だから、私たちが「原理」を読んではいたけれど、別にその内的な実感がなかったのに、あるいはいつも知っていた内容で、相当刺激を強く受ける時があるのです。それはなぜかというと、その人の内面的な条件が立って、何か神の願いはないかと尋ねる時に与えられるのです。大先生がいつもお話しされるように、「関心のないところに成功はない」、「関心のないところに自分の結果は現れない」ということです。

 信仰の本当の精神は、「絶対者のものだ」と自分を信じることなのです。今までの私たちの信仰は、まず自分が神を信仰するのだ、と思ったのです。はっきり言ってみれば、自分がなぜ自分を絶対視するかというと、み言(ことば)によっての所有体験をしてみると、結局自分は自分でないと感じるからなのです。み言を通じてよみがえったその生命をもち、自分が自分でないということを実感したあとには、自分を信仰しなくてはならないのです。なぜなら、もう非原理的な面を分別したからです。

 分別する前には、自分を絶対視する自信はないのです。いくら自分が一方だけで信仰しても、何も与えられないから、何も力が来ないのです。力が来ないのはなぜかというと、まだサタンとの関係の未練があるからです。未練のある者がいくら信仰しても、片方の信仰であって、結局、自分自身の力を中心として信仰しているのです。

 自分が自分でないことをつくづく感じるのは、その悪主権から分立したのちに、神から与えられた何かの力によってです。

 自分を否定できないというのは、否定してくれる力を与えられていないからです。それがないと自分を否定できないのです。それ以上の価値のあるものを所有してから、捨てるのが、人間の本性です。これを捨てたなら、この倍の価値のものを与えるといったら、捨てる自信が出るのです。

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 次回は、「神に所有された自分」をお届けします。


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