青少年事情と教育を考える 179
コロナ禍の影響で子供の摂食障害が増加

ナビゲーター:中田 孝誠

 新型コロナウイルスは子供たちの生活にさまざまな影響を与えていますが、子供たちの間に神経性食欲不振(神経性やせ症)が増えているという調査結果が10月に公表されました。
 神経性食欲不振は摂食障害の一つで、極端な食事制限をしたり、過剰に食べた後に吐いたりするなどして、正常な体重より明らかに低くなる疾患です。

 国立成育医療研究センターが全国26の医療機関を通して調査したところ、2020年度は子供たちの神経性食欲不振の初診外来が2019年度に比べて1.6倍に増えていました。例えば、男子は17人から28人に、女性は141人から230人になっていました。入院患者も1.4倍になっていました。

 原因として、コロナ禍の生活環境の変化によるストレス、友達に会えない、行事などが中止になっていること、感染症の不安などが影響しているのではないかと同センターは分析しています。実際、神経性食欲不振の患者が重症化しているという報告もあったということです。

 同センターが9歳から18歳の子供たちに行った以前の調査でも、半数が「あまり食欲がない、または食べ過ぎる」と答えていました。こうしたことから、判明した人数以上に潜在的な患者がいるのではないかと推測されています。

 同センターは、摂食障害の治療ができる医療機関の拡充とともに、家庭や教育機関で子供の食欲や体重の減少に気を配り、深刻な状況になる前に医療機関の受診につなげることができるようにする必要があると述べています。

 子供たちの健康に、今まで以上に気を付ける必要がありそうです。