青少年事情と教育を考える 167
「できちゃった婚(授かり婚)」の割合が低下

ナビゲーター:中田 孝誠

 結婚期間が妊娠期間より短くて子供(第一子)を出産するカップル。いわゆる「できちゃった婚」のカップルから生まれた子供の割合について、厚生労働省がデータをまとめています(「令和3年度 出生に関する統計の概況」)。

 それによると、令和元年(2019年)、結婚したカップルの間に生まれた一番目の子供は38万2千人。このうち結婚期間が妊娠期間より短いカップルの子供は7万人で、割合は18.4%でした。

 できちゃった婚のカップルの出産は2002年には出生数555千人のうち15万5千人、27.9%を占めましたが、それをピークに近年は割合が大きく低下しています。
 母親の年齢別で見ると、10代では8割、2024歳では6割、2529歳では2割です。

 できちゃった婚にはマイナスのイメージがあるということで、最近は「授かり婚」という言葉も使われています。こちらは、カップルがお互いの同意のもとに子供を授かった上で結婚するという意味が込められているといわれています。

 結婚(法律婚)にこだわらず、欧米のように事実婚がもっと社会的に広がれば少子化対策になるといった声も一部にあります。しかし、そう簡単に言い切れるものではありません。

 できちゃった婚という言葉が生まれること自体、日本人にとって子供を授かるということは結婚と密接につながっていることを意味します。文化として結婚と子育てを大切にしていると言ってもいいのではないでしょうか。
 ただし、そうした風潮が揺らいでいる面もあります。児童虐待などはその象徴的な問題でしょう。

 もちろん、どのような境遇で生まれたとしても、生まれてくる全ての子供が大切に育てられなければなりません。それは社会全体の責務です。改めて結婚と子育てを大切にする文化を思い起こす必要があるのかもしれません。