シリーズ・「宗教」を読み解く 179
キリスト教の人生観⑪
「わたしを愛するか」

ナビゲーター:石丸 志信

 許しはキリストを通して神から来ると、初めて実感したのは他でもないペテロであり、イエス・キリストによって選ばれた使徒たちだった。

 ペテロは、イエスは復活された、との知らせを聞いたけれど、半信半疑だった。少しの間、故郷に帰って漁師の生活に戻った。
 ある日、ガリラヤ湖に漁に出掛けたが、一晩中網を投げても一匹も魚がかからなかった。疲れ果てたペテロに岸辺から声を掛ける者がいた。

▲ガリラヤ湖

 「網を右に投げてみなさい」。そのとおりにすると、網が張り裂けるほど魚がかかった。
 ペテロはそこで初めて、声の主が復活されたイエスであることに気付き、湖に飛び込んで、泳いで岸に上がった。

 仲間が舟を戻し、網を引き上げてみると、153匹もかかっていた。イエスは、彼らの労をねぎらい、魚を焼いて弟子たちと共に食事をした。

 腹を満たし落ち着いたペテロにイエスは三度問い掛けている。「わたしを愛するか」と。ペテロは、「愛しています」と答えるが、ほんの数日前に裏切った自らの弱さに心苦しくなり、声を詰まらせた。

 それでもイエスは、「わたしの羊を養いなさい」と命じ、使徒としての使命を託してくださった。
 こうしてペテロは許され、本来、彼がなすべき使命を再び命じられる。他の使徒たちもそれぞれの出会いを通して同様に許しを与えられていくのだ。

※「ヨハネによる福音書 第21章」を参照のこと