青少年事情と教育を考える 162
文科省が「質の高い幼児教育」を提案

ナビゲーター:中田 孝誠

 文部科学省は、「幼児教育スタートプラン」を検討しています。
 今年5月に萩生田光一文科相が政府の経済財政諮問会議で発表したもので、幼稚園、保育園、こども園といった施設に関係なく、また経済状況などにかかわらず、全ての子供(小学校入学前の5歳児)が就学前に生活や学習の基盤を育むための質の高い教育が受けられるようにするという提案です。

 早期教育(就学前教育)はここ数年、ノーベル賞学者ジェームズ・ヘックマンの研究で大きな注目を集めていますが、今回の文科相の提案は、近年問題とされている教育格差を改善し、スムーズに小学校に進むことができるようにするという意味合いも込められているようです。

 具体的な内容を見ると、ことばの力、情報を活用する力、探究心など生活や学習の基盤となる力を全ての5歳児に保障する「幼保小架け橋プログラム」を開発するとしています。
 また、保護者や地域の教育力を引き出すための子育て支援の充実、幼児教育の推進体制強化、さらに保育人材の確保と資質向上などが柱になっています。

 このプランの一つのポイントは、幼稚園、保育園、こども園というどの施設にいても、5歳の1年間は同じ内容を学んで小学校に進むということでしょう。
 現在議論されている「こども園」では縦割り行政の打破が掲げられていますが、それを先取りしているとも言えます。