青少年事情と教育を考える 150
“入門薬物”の大麻と麻薬乱用

ナビゲーター:中田 孝誠

 10代の子供たちの間に大麻が急速に浸透していることは、この欄でも何度か取り上げましたが、それに関連して気になるデータがあります。
 先日、警察庁が昨年1年間の少年非行の統計を公表したものです。

 ここ数年、少年犯罪は総じて減少傾向にあります。しかしその中で増加が目立つのが大麻の乱用です。

 昨年は887人が検挙されました。前年より一気に278人、45.6%も増えています。7年前の2013年から順に、59人、80人、144人、210人、297人、429人、609人、そして887人ですから、その急増ぶりが分かります。
 しかも、887人のうち高校生が159人(前年より50人増)、大学生が56人(同23人増)でした。

 もう一つ、大麻と合わせるように増えてきたのが麻薬です。ここで言う麻薬はヘロインやコカイン、合成麻薬(MDMA)などを指しています。
 やはり2013年から見ると順に、8人、6人、11人、14人、13人、24人、37人、昨年は60人でした。このうち高校生が15人、大学生が7人でした。

 もともと大麻は「他の薬物より安全」と誤解され、多くの若者は興味本位で使用してしまいます。しかし大麻は「ゲートウェイドラッグ(入門薬物)」と呼ばれるように、さらに依存性が強い薬物に流れてしまうといわれています。

 ここ1、2年の麻薬乱用の増加は、それが現実になっている可能性があることを示唆しているわけです。