2025.08.17 22:00
ダーウィニズムを超えて 124
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。
統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著
第九章 科学時代の新しい神観
(二)統一思想による新しい神観
(2)男性と女性としての神
1. 現代科学とペア・システム
現代物理学は東洋の陰陽思想を裏づけることになった。
1932年、カリフォルニア工科大学のアンダーソン(C.D. Anderson)は、宇宙線の飛跡の霧箱写真を調べていたとき、妙なものが写っているのに気がついた。これは他の点では電子と変わりないが、曲がり方が電子とは逆になっていた。これは、プラスの電気をもった電子であるとしか考えようがなく、「陽電子」と名づけられた。
電子と陽電子の対発生に続いて、1955年、バークレイのカリフォルニア大学で陽子と反陽子の対をつくり出すことに成功した、一年後、同じくバークレイの科学者たちは、中性子の磁気モーメントと逆向きの磁気モーメントをもつ反中性子を確認した。
こうして1956年以来、物理学者が明らかにしたところによると、光子と中性パイ中間子のように“符号をもつ量子数のない粒子”以外、素粒子はすべてその反粒子をもっていることが分かった。素粒子と反素粒子とは、すべての点でそっくり同じであるが、量子数の符号だけが反対になっているのである。素粒子と反素粒子のペアは陽と陰のペアにほかならなかった。
原子の中を見ると、マイナスの電気をもつ電子とプラスの電気をもつ陽子があって、引き合っている。さらに原子と原子は相対的にプラスとマイナスの電荷を帯びて結合し、さまざまの分子をつくっているのである。なぜプラスとマイナスの電荷があるのだろうか。それに対して物理学者は「なぜか分からない。とにかくそうなっている(*16)」と言うしかないのである。ともかく、ミクロの世界は陽と陰の素粒子、原子、分子、そして陽と陰が中和している中性の素粒子、原子、分子から成っているのである。
次は生物界に目を転じてみよう。生物は最初、中性の無性生殖から始まったが、やがて雄と雌のペアとなり、有性生殖によって繁殖するようになった。生物において雄と雌による有性生殖がいかにして生じたのか、すでに第一章で述べたように、それは現代の生物学の最大の謎の一つとされているのである。
*16 レオン・レーダーマン、高橋健次訳『神がつくった究極の素粒子』草思社、1997年、下巻、163頁。
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次回は、「陽性と陰性の中和体である神」をお届けします。