シリーズ・「宗教」を読み解く 148
2021年の年頭に思う

ナビゲーター:石丸 志信

 まれにみる晴天に恵まれた2021年(令和3年)の元旦、神の限りない愛と祝福を感じる新年の幕開け。21世紀に入って20年が過ぎ、新しい十年期が始まった。

 今年の干支「辛丑(かのとうし)」は、古いものが枯れ果て、新しいものが生まれてくるという意味だという。

 良き地にまかれた種子が新たな芽を吹くように、隠れたところで創造的な大変革が起こる時なのだろう。

 昨年はコロナ禍で「密」を避け距離を保ち、往来も制限された。そのためかえって「神と人」「人と人」の「絆(きずな)」の重要性に気付かされた。

 10年前、東日本大震災が起こった直後に世界中から日本のために多くの祈りが届けられたのを思い出す。苦難の中にあってこそ本来向かうべきかたを思い出すのかもしれない。

 聖書の「詩編」は、ユダヤ教の「賛美歌」であり、神のみ言に対する人間の応答だ。
 興味深いことに、多くの詩は「嘆き」に始まり「賛美」へと変えられていく。

 創造主である神と真っ直ぐ向き合って、苦しみも悲しみも包み隠さず打ち明ける時、神と人とのわだかまりが消えて、信頼の絆が回復される。
 その時、新しい生命の息吹を受けて人々の苦悩は消え去り、平安と喜びに満たされる人々の口からは神への賛美の歌声が溢れ出す。

 神と人とをとりなす宗教者本来の役割を果たす時なのだろう。