青少年事情と教育を考える 139
コロナ禍と夫婦関係

ナビゲーター:中田 孝誠

 1122日は「いい夫婦の日」でした。
 この日に合わせて明治安田生命が発表したアンケート調査によると、コロナ禍の中で「夫婦の仲が良くなった」という人が2割(19.6%)で、「仲が悪くなった」(6.1%)の約3倍でした。

 仲が良くなった理由は「コミュニケーションや会話の機会が増えたため」が62.5%と圧倒的でした。

 また、「支えになる人が側におり、心強いと感じたため」(夫17.1%、妻27.0%)、「配偶者が家事や育児に協力的になったため」(夫6.1%、妻23.4%)など、妻の側が夫婦関係に良い変化をより強く感じていました。
 さらに、夫婦の会話時間が多いと、「夫婦円満」の割合が高くなる傾向が見られました。

 ただ、一方では、40歳未満の女性の自殺がここ数カ月増えているという報告もあります。その要因の一つが、DV(ドメスティック・バイオレンス)、そして子育てや介護の悩みを女性が一人で抱え込んでいるのではないかという点です。

 脳科学研究者の黒川伊保子さんは、家族の欠点ばかりが目について家族にストレスを感じるという人は多いけれども、自分が視点を変えて家族の才覚を生かす。弱点を容認し合うことが家族の原点だと語っています。
 また、家族の誰かが失敗した時、「僕も気がついてあげればよかった」と一緒に胸を痛めることができれば、家族をつなぐ癒やしの言葉になるというのです(『家族のトリセツ』NHK出版新書)。
 これは特に夫の側の責任と言ってよいでしょう。

 先日の本欄で児童虐待を取り上げた際、子供を虐待していた母親の2割がDVの加害者であったことなどを紹介しました。
 2000年代初めの裁判所の調査では、少年による凶悪事件の背景には夫婦関係の問題が大きく関係していたことも報告されています。

 子供の成長と幸福のためにも、より良い夫婦関係を築く努力が大切だということです。