青少年事情と教育を考える 140
「主権者教育」に必要な家庭の力と道徳

ナビゲーター:中田 孝誠

 「主権者教育」という言葉を聞かれたことがある人も多いのではないでしょうか。
 11月、文部科学省の有識者会議が、「今後の主権者教育の推進に向けて」という報告書を発表しました。

 主権者教育というのは、社会の一員として自分で考えて行動し、お互いに協力しながら、地域の課題を解決する力を育てる教育です。
 一言で言えば、これからの国、社会を担うという意識をしっかりと持った人材を育てるということになるでしょう。

 新しい学習指導要領にも「主権者として求められる力」を養う必要があるとされていますので、今まで以上に盛んに行われるようになると思われます。

 この教育が行われるきっかけは、2016年に選挙権の年齢が満18歳に引き下げられたことです。
 高校では、公職選挙法や選挙の仕組みなど政治的教養を育てる教育や模擬選挙などが行われています。また、必修科目として「公共」が2022年度から導入されることになっています。

 もちろん、選挙権のことだけが主権者教育ではありません。文科省は、子供たちが社会を担う力を身に付けるためには、一つは道徳教育や家庭科などと関連した学習も大切だと述べています。その中で、個人と公共の利益のバランスや義務についての内容も入ってくるわけです。

 もう一つは家庭や地域での取り組みです。基本的な生活習慣を身に付け、自立心を養うことができるような家庭教育の環境を整備し、地域でも地域資源を活用した体験活動や地域行事が大切だと述べています。

 主権者になるということは、国や社会の一角を担うわけですから、本来は公正で普遍的な価値(正直、誠実、自律、勇気、奉仕、思いやりなど)をしっかりと身に付けていかなければなりません。その意味でも、家庭の力、道徳教育が重要になるわけです。