青少年事情と教育を考える 138
大麻の危険性を認識しない若者たち

ナビゲーター:中田 孝誠

 大麻の若い世代へのまん延が問題になっています。
 特に今年は大学スポーツ界の選手たちの使用が次々と明らかになりました。選手たちは、新型コロナウイルスの影響で試合が中止になり、練習も十分にできない中で、時間の余裕ができ、心に隙ができたようです。

 法務省の犯罪白書によると、昨年(2019年)、大麻取締法違反で検挙されたのは4570人です。このうち20歳未満は609人で、前年から42%も増えました。
 中学生は6人、高校生は109人です。高校生はこの4年間で5倍(201524人)に急増しています。

 若い世代に広がっている理由について、初めて使用したきっかけは「誘われた」「好奇心・興味本位」という若者が多くいます。
 また、若い世代にとって非常に身近になっているということもあります。インターネットで作り方が公開され、自宅で栽培することも可能になっています。電子タバコのように吸引できる加工品まであります。

 海外で合法化している国もあり、「他の薬物より安全」「たばこより害がない」と誤解する若者もいます。間違った知識で、危険性の認識が希薄というわけです。大麻事件の検挙者のうち、大麻の危険性を認識していたのは3割ほどしかいなかったという話もあります。

 しかし大麻は「ゲートウェイドラッグ」といわれ、覚せい剤など他の薬物の入り口になる恐れがあります。
 実際には、大麻に含まれる成分によって一時的な多幸感があっても、時間感覚のゆがみ、記憶障害などの認知障害や運動障害、不安、妄想など心身に重大な影響を及ぼします。

 若い世代へのまん延を止めるためには教育の充実が急がれます。心身への危険性、自分の人生や家族、社会に対する悪影響を自覚し、より良い人生を考える教育が必要でしょう。