青少年事情と教育を考える 132
部活動を地域の指導者に託す

ナビゲーター:中田 孝誠

 教員の働き方改革は、ここ数年の重要テーマになっています。そのための取り組みの一つが、部活動指導の改革です。

 部活動の指導は教員が大きな役割を担っていますが、休日を含め長時間勤務の一因になっており、経験がない部活動の指導が大きな負担になってきました。教員に指導の経験がないと、生徒にとっても望ましい指導が受けられないことになりかねないというわけです。

 そこで、部活動を学校単位ではなく地域単位の取り組みとして、地域の人材に指導を任せるという案が以前から議論されています。

 文部科学省が9月にまとめた改革案では、持続可能な部活動と教師の負担軽減の両方を実現するため、まずは「休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境」をつくることを目指し、同時に「生徒の活動機会を確保するため、休日における地域のスポーツ・文化活動を実施できる環境」を整備するとしています。

 そのため、今後2〜3年で休日の部活動を段階的に地域に移行し、地域で人材の確保や国の支援を進める方向を打ち出しました。

 課題は、指導者としてふさわしい人材を地域で確保できるかということです。
 仮に部活動の経験者であっても、研修などが必要な場合もあります。また、平日は教員、休日は地域の指導者となった場合、指導を受ける生徒がどう受け止めるかも考慮する必要があります。

 一方、部活動を重要な教育の場と捉え、全力を投入する教員もいます。
 地区の研修センターへ出向した教員が、週末だけ部活動の指導で生徒と過ごす時間を持ち、「この時間がないと、やっていられない」というほど、部活動での生徒との触れ合いが貴重なものと感じている教員もいます。
 こうした教員の思いも大切にする仕組みにしなければならないでしょう。

 しかし全体として、地域の人材の力を借りて地域全体で子供たちを育てるという取り組みが必要となっているのは確かです。