青少年事情と教育を考える 124
教員採用の年齢制限をなくす自治体が増加

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、教員免許の国家資格化について書きました。

 教員採用について、近年、もう一つの傾向があります。
 それは「受験の年齢制限をなくす」自治体が増えつつあることです。

 文部科学省が今月発表した調査結果(2020年度公立学校教員採用試験)によると、採用試験の受験年齢を「年齢制限なし(59歳以下)」としているのは、全国68の都道府県・指定都市などのうち、41の県と市でした。前年度は33でした。2015年度は21でしたから、この5年間で2倍になったわけです。年齢制限を緩和した自治体も9の県と市です。

 これらを合わせると、65の県市で40代でも教員採用試験を受験することができるということです。

文部科学省

 この背景には、採用試験の倍率が低下する中で、年齢に関係なく意欲を持った有能な人材を教員として確保したいということがあります。
 実際、年齢制限をなくした自治体では、受験者が増加しました。

 また、英語の資格や民間企業での勤務経験、国際貢献活動の経験などによる特別選考を実施する自治体も多くあります。

 文科省では、専門的な知識や技能を持つ外部の人材を登用したり、就職氷河期世代(35歳~54歳頃)の人が学校で活躍できるよう支援したりすることも検討しています。
 前回も書いたように、教員という職業の魅力を向上させて受験者数の掘り起こしにも取り組もうとしています。

 意欲と能力のある人に、教員という職業の魅力を伝え、学校現場に立ってもらうための模索が続いています。