シリーズ・「宗教」を読み解く 120
21世紀の宗教の使命⑤
グローバル化とともに境界線を超える宗教たち

ナビゲーター:石丸 志信

 冷戦終結後、1990年代に入ってグローバル化の時代を迎える。それが宗教にもさまざまな影響を与えることになる。

 米国キリスト教の伝統回帰の動きの中にあったプロテスタント保守派の中でも、ペンテコステ派がラテン・アメリカ、アフリカ、東アジア、オセアニアに広がった。
 礼拝での激しい聖霊体験と神への信仰が経済的成功をもたらすとの教えに、教派を超えて共感する者が多いという。

 日本の仏教系、神道系の新宗教もラテン・アメリカやアフリカ諸国に受け入れられている。創価学会や幸福の科学などは自助を促し社会的上昇を導くものとして、真光や真如苑などの「霊術系」はアフリカ土着文化とも相通じるものがあり、広がっている。多くは、従来のキリスト教を棄(す)てることなくこれを補完強化するものとして受容している。

 東洋の宗教への傾倒から生まれてきた欧米社会スピリチュア文化が、グローバル化の波に乗ってアジア諸国に逆輸入されることで、アジア諸国ではそれぞれの伝統回帰につながる場合がある。

 一方で、神道のグローバル化現象なども見られる。神道文化に魅(ひ)かれた外国人が、普遍的な観点でその世界観を再解釈して世界に拡散していく動きもある。

 グローバル化に伴い、多様な宗教文化が広がっているともいえる。既存の世界宗教の枠組みが変容し、その境界線が少しずつ崩れ始めているようだ。