コラム・週刊Blessed Life 116
アメリカの義憤と報復
新海 一朗(コラムニスト)

 ジョンズ・ホプキンス大学の統計によれば、2020年5月13日16時54分時点において、世界の新型コロナウイルスの感染者数は426万2799人、死者は29万1981人となっています。中でも、米国の感染者数が136万9964人、死者数8万2387人で、2位以下を大きく引き離しています。ちなみに、感染者数の2位がロシアの23万2243人で、ここにきて、ロシアの感染爆発が欧州を凌駕(りょうが)する流れになっています。死者数の2位はイギリスの3万2769人で、イタリア、フランス、スペインを抜き去っています。

 この甚大な被害を黙っている米国であるはずはありません。
 NTDTV(ニューヨークに本部を置く中国語衛星放送)に出演したスティーブ・バノン氏(トランプ政権誕生の陰の立役者)は、コロナ禍を中国と世界に拡散した習近平政権を「最も殺人的で史上最悪の独裁政権」と呼ぶことにいささかの躊躇(ちゅうちょ)もありません。

 バノンは、「CCTV(中国中央テレビ)のライターは、全員中国のプロパガンダ要員であり、武漢からコロナが出たことを隠し、世界の注目が武漢に集まるのをそらそうとしている」と語り、「われわれ(米国)はこれが武漢から始まったことを知っている」と言明しています。いくつかの証拠を米国はすでにつかんでいるということでしょう。

 「武漢の李文亮医師と同僚たちは、12月末にウイルスが人から人へ感染し、武漢で広がっていることを知っていた。中国共産党政権も知っていた。武漢研究所にもさまざまな科学者がいた。彼らが告発し情報を提供している。中国政府のうそと偽情報は隠しきれない」というバノンの言葉からすれば、李医師とその同僚たち、また研究所の科学者たちの告発に耳を傾けず、放置しておいた習近平政権の罪は大きく、どれだけうそをついても隠しきれるものではないということです。武漢の科学者たちの中に寝返って米国に協力する者たちがすでにあることをにおわせています。

 巨大な被害を与えている武漢コロナの責任を、中国に取らせる動き(賠償金の請求など)が、現在、各国において見られますが、「中共メンバーと中国共産党の資産は没収される。いずれニュルンベルクのような裁判(ナチス・ドイツの戦争犯罪を裁いた国際軍事裁判)を武漢で行う。バイオロジカル・チェルノブイリを武漢で起こし、世界に広げた罪を裁く」とテレビで語ったバノンの言葉を、誇張と取ることもできるでしょうが、半ば以上の本音がそこにはあります。米国の怒りはそこまで来ているということです。

 現在の中国共産党に率いられた習近平政権の寿命は、もはや尽きたと思われます。今後、いくつもの紆余曲折があるにせよ、あの手この手で生き残りを画策する中共の欺瞞(ぎまん)的な外交努力が見られるにせよ、中国の隠蔽(いんぺい)体質と威嚇的傲慢(ごうまん)性(ヤクザ、ごろつき)を知った世界各国は中国離れを起こし、ついには、中国共産党は崩壊する運命を逃れることができなくなり、共産主義中国は遠からず息を引き取るというシナリオになるでしょう。

 歴史の転換期を、生きた証人として私たちは見ることになりますが、その第1ラウンドが「ソ連崩壊」、第2ラウンドが「中国崩壊」であることは微塵(みじん)も否定できません。