夫婦愛を育む 3
愛の世界は、負けるが勝ち

ナビゲーター:橘 幸世

 人と意見が異なるとき、つい自分の考えが正しいと信じがちです。
 夫婦間においても親子間においても、言い合いが始まれば、それはもう闘いモード。どちらが正しいか、どちらが勝つかで相譲れず、理屈で勝ったとしても相手は感情的には屈服しません。

 20代前半、ある男性と些細な事で言い合いになったことがありました。お互い若くて学生上がり。教条的になりがちです。双方譲らぬまま、その場は終わりました。
 感情的になった自分が嫌で祈ろうとしましたが、とても穏やかに祈れません。「神様、ごめんなさい。今は祈れません。また後で来ます」と言って、彼の所に行きました。
 自分の意見が正しいという思いは変わりませんでしたが、感情的になったことに対して彼に謝りました。彼も恐縮して、「いやあ、僕の方こそ」となって和解。良い兄弟です。
 以来、仮に自分と相手の非が1対9だと思ったとしても、その1に対して謝るよう心がけてきました。(そこまでに要する時間は時と場合によりますが^^)

 先に謝ることは、癪(しゃく)なような、負けるような気がするかもしれません。が、実は仲直りしたいのはお互いさま。相手が先に謝ってきたときは、むしろ先方の心の大きさを感じるのではないでしょうか。